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欧州委員会は2018年3月21日、デジタル事業活動がEU内で公正かつ成長を損ねない形で課税されるように、①IT企業の利益が登録され課税されるようにする法人税規則の改正、②現在EUで免税されているIT企業への暫定税、を提案した。これを受けてフランスは「GAFA税」を2019年1月1日から徴収する。オーストリアはフランスに続いて1月初めに基本的枠組みを発表、2020年に政府が計画した税制改革の一環として、デジタル税が施行される。
巨大な利益を生み出すIT巨大企業は欧州でほとんど税金を払わない実態に対して欧州員会はデジタル税を課す方向に動き出した。直接販売に課税することに加えて、フランスはまた企業に広告収入、ウェブサイトおよび個人データの転売に課税することを要求することも発表している。
GAFAに甘いEU税制
EUの法律では、GoogleやFacebookなどの米国のIT企業は、どのEU加盟国でも収入を報告することを選択でき、アイルランド、オランダ、ルクセンブルクなどの低税国を選択することで、税金逃れを行っている。EUの発表では、このようなIT企業は、平均して9パーセントの課税を支払っているが、これは一般企業の平均23.5%に比べると低い。
しかしそれでも低い税率に多くのヨーロッパ諸国の有権者は不満を募らせている。Facebookの相次ぐ個人情報漏洩問題は、個人情報の保護を推進しつつある欧州に課税という形で、有権者に訴えざるを得なかった。トランンプ政権が欧州に対する関税措置への対抗措置としての意味や背景にある欧州IT企業保護の目的もある。
デジタル税に反撥する米国
EUの計画では、デジタル税からの収益は、それぞれの国でのIT企業の活動規模に応じて、会社が実際に営業する国に公平に分配される。一方、米国財務長官は、米国の雇用と経済成長に大きく貢献しているハイテクIT企業に損害を与えるとしてデジタル税への動きを牽制している。米国はこの税制はIT企業を選び出すことでデジタルエコノミーを選択した課税行為として批判している。
欧州はデジタルエコノミーに公平な税制を適用すべきとし、米国はデジタルエコノミーだけを狙い撃ちにする行為として強く反撥する。個人情報保護と課税の両面で、欧州と米国の国家間の溝が深まったように見えるが、消費者対企業の「代理戦争」が透けて見える。
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