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IMFの最新データによると、先進国,新興国と低所得発展途上国190カ国の政府部門、家計部門、企業部門を含む「世界債務残高」は2017年末に名目で過去最高の184兆ドルに達した。これは世界債務残高対世界GDP比率でも最大の225%となる。
1950年から上昇を続けてきた世界債務残高は2009年にピークを達し、2010年には一時的に減少を見せた。しかし、2011年から再び拡大傾向に転じ、2017年には2009年と比べ世界債務残高対世界GDP比は11%も拡大した。リーマンショックによる世界金融危機前の2007年末に110兆ドルだった世界債務残高は2017年末には67%も増えて184兆ドルに達している。
Credit: IMF
2017年に最も債務残高が高かったのは米国、中国、日本、ドイツの先進国4カ国で、対GDP比では日本が最も高い395%であった。先進国の間では、政府債務は減少を見せたが、民間債務は上昇を示した。新興国の債務残高は拡大を続けているが、拡大規模は下がっている。低所得発展途上国の間では、債務危機レベルの国が多い。
最も高い債務残高対GDP比の10カ国
日本 395%
カナダ 304%
フランス 289%
英国 257%
米国 256%
中国 254%
イタリア 246%
オーストラリア 238%
韓国 231%
ドイツ 171%
1950年以降、民間債務残高は3倍に膨れ上がり、世界の債務残高の拡大要因となっている。特に中国や新興国の民間債務は大きく拡大している一方で、低所得発展途上国では民間債務は低く、政府債務が主となっている。
金融緩和政策が続いた影響で膨れ上がった世界の債務は、2018年第1四半期には更に63兆ドル増加、247兆ドルと過去最高を更新した。解決が不可能となった債務問題は世界の経済問題の基底であり、今後は金利の上昇、物価の上昇、通貨の下落、金融危機、財政の破綻危機のリスクが高まるばかりである。