Photo: washingtonexaminer.com
ギャラップ社がラテンアメリカとカリブ諸国を含む33カ国を対象に、他国への移住に関して行った世論調査によると、移住先として最も希望が高かったのが米国であった。今後、中南米諸国の経済や治安の悪化や国家破綻の危機で、米国を目指す不法移民の増加は避けられない状況にある。
自国を永久に離れ、他国への移住を希望していると答えたのは27%、約1億2000万人と推定される。ギャラップアナリティクスの予想では、そのうちの35%にあたる約4200万人が米国への移住を希望している。その中の約500万人は今後1年以内にアメリカに移住することを目指すと答えている。
現在約1000万から2200万人の不法移民が全米に滞在しているとされ、毎年増加している不法移民に対して、トランプ政権は特定の国の入国規制、国境沿いの壁の建設や国境警備体制の強化などをはかってきた。その結果、不法移民の送還、特に不法移民で有罪判決を受けた犯罪者、刑事処分の対象となっている犯罪者、メキシコ麻薬カルテル構成員たちの逮捕と送還が増加している。
米移民税関捜査局(ICE)によると、2017年9月~2018年10月の1年間で全米に滞在する不法移民95,360人が送還された。オバマ政権下の2016年と比べ不法移民は46%も多く送還されている。更に、国境警備隊によって確保された国境を超えた不法移民160,725人が送還されたと報告している。中でも、有罪判決を受けている犯罪者とギャング構成員5,872人、テロリスト42人が送還され、2016年と比べそれぞれ11.5%、185%、56%も増えている。
Credit: US ICE
昨年10月のグアテマラからのキャラバンで約52,000人がメキシコ国境を超えアメリカに入国しようとしてICEと国境警備隊確保された。2018年一年間で465,000人の不法移民が確保され、2017年より85%も増加している。不法移民の研究を行っているプリンストン大学の Kopits氏によると、2019年は2018年よりさらに30%増加して、2008年以来最も多い不法移民約60万人がアメリカへの入国で確保されると予想している(下図)。
米国が合法移民の国である。不法移民が全て犯罪者というわけではないが、あまりにも急激な不法移民の流入は国家を弱体化する。この1年に国境を越えようとする推定500万人もの不法移民を国境の壁建設で防げるかどうか疑わしい。結局は不法移民を駆り立てる貧困から救うことが根本の問題解決だが、それには国境の壁建設より遥かに困難である。
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