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2014年3月に南インド洋に墜落したと考えられているマレーシア航空のフライトMH370探索が進展をみせている。水中音波解析で航空機が海面に衝突した可能性がある2箇所と新たな飛行ルートを特定することができた(U. Kadri, Scientific Reports online Jan. 29, 2019)。
隕石や飛行機のような大きな物体が海の表面で激しく衝突すると、大きな表面波と、音波の重力音波(注1)を生成する。水の中を何千キロも移動することができる重力音波の解析で、衝撃に関する重要な情報が得られる。
(注1)周波数が十分に小さくなると、波は弾性だけでなく重力にも支配されて伝わるようになる。このような波は重力音波(acoustic gravity waves)と呼ばれる。
前回の調査では、インド洋のハイドロフォン(水中マイク)ステーションで拾われた重力音波を調べ、飛行MH370が海洋に2点衝突した可能性がある場所を絞り込まれているが、調査チームは新たに衝撃の場所の特定につながる結果を得た。
重力音波が海底を通過するとき、海底の弾力性を考慮すると伝播速度は1,500m/sから3,500m/s以上に上昇する・このことが今回新たに考慮されたことで、解析の信頼性が向上し新たな情報が得られた。新しい水中音波解析はMH370の移動経路と新しい衝突地点位置が示唆された(下図)。
Credit: Data SIO、NOAA、米国海軍、NGA、GEBCO。 ©2018 Basarsoft;米国国務省、©2018 Google
今回と前回分析した重力音波は、2014年3月7日から8日にかけて、MH370が消息を絶った時点で、2つのハイドロアコースティックステーション(それぞれハイドロフォンと呼ばれる3つの水中マイクを包括的核実験禁止条約機構が管轄)が運用していた。 このなかでHA01は西オーストラリアの沖に設置され、HA08sはディエゴガルシアに設置されている。上図の青色がHA08sの解析で今回得られた衝突地点を示唆している。
HA08の信号解析は軍事演習で背景ノイズが大きく困難であるが、インド洋北部に新たな衝突地点の可能性を示している。この情報は調査チームはマレーシアのMH370安全性調査チーム、オーストラリア運輸安全局、およびその他の関係当局に伝えられた。飛行ルートと衝突地点は絞り込まれ、機体の発見の可能性が高まった。