エコカーのためのHOVレーン

Mar. 20, 2015

 

 HOVレーンというのはHighly Occupied Vehicleの名の通り、2人以上が乗車する場合に使えるカープールレーンでカリフォルニアの高速道路の出勤退社ラッシュアワーの渋滞緩和のためにつくられたものである。渋滞レーンを使わないで通勤できるので、近くに住む会社の同僚が集まって1台の車で出勤するためのものであった。


 

お金で買えるHOVレーン

 サンデル教授が「それをお金で買いますか」で取り上げた「レクサスレーン」というのはお金を払って、カープールレーンを走れる制度のことである。最近では排出ガスの少ないCAV (Clean Air Vehicle)という区分ができた。これはEVとPHVを対象とした高度のエコカーを優遇する制度である。


 CAVステッカー(写真)はもともとEV対象で、写真のテスラ社Model Sのようなゼロエミッション車のカテゴリ優遇措置であったが、このほど55,000のCAVステッカーがPHVに配られた。HVはもはやエコカーとしては認知されず、EVとPHVのみがCAVとして認められ、優先レーンを走る事ができるのだ。



 

カープールの憂鬱

 HOVレーンを1人乗車でも使えるのがPHV購入の動機となっているという。日本では補助金による優遇措置で、一般の税金で賄われるのと違い、ステッカー1枚印刷するだけでエコカーの販売を促し同時に渋滞緩和に役立てる。なんとも賢いやり方だが会社の同僚と待ち合わせる必要がないので人気は上々のようだ。

 

 出勤時にまで同僚と一緒といのも息が詰まるし、人によっては通勤途中の自由な時間を音楽で楽しむことを好む人もいる。一人乗車のPHVでHOVレーンを悠々と運転することは誰でも憧れるのではないだろうか。車通勤の距離が日本とは比較にならない米国では一石二鳥だろう。調査によればHOVレーン走行のためなら割高なPHV購入をためらわない人が多いという。

 

 

PHVが売れる理由

 PHV購入補助($8,000)もあって、3-3.5万ドルのPHVが人気だという。テスラ社のEV、Model Sは7万ドル以上であるので、PHVをCAVに入れたことは合理的に思える。HVのプリウスではCAV認定は受けられない。たとえ受け入れられても今度はHOVレーンがプリウスで一杯になるだろうから、現実的ではない。どうやら人間は人よりわずかな贅沢に関心があるようだが、その心理をうまく使うことに成功の秘訣がありそうだ。