このほど太陽光発電の長距離飛行機SolarImpulse2が世界一周無着陸飛行に挑戦するため、アブダビから飛び立った。
SolarImpulse2はジャンボ機より長い72mの長大な主翼を持つがカーボンファイバー素材でつくられた機体はわずか2,300Kgである。注目すべき点は昼夜連続飛行のために必要なリチウムイオンバッテリー633Kgを積んでいることである。
バッテリー容量は5日間の連続飛行に耐える4個のモーター用にそれぞれエネルギー密度260 Wh/kgバッテリーを組み合わせる。飛行機の翼と胴体に135ミクロン厚の薄膜太陽電池パネルを17,000個取り付ける。18,650個のバッテリーを組み合わせたテスラ社のModel Sのようなマルチセルだ。ちなみに日産リーフのバッテリーパックのエネルギー密度は157Wh/kg。
SolarImpulse2は50名の技術者が12年かけて開発したもので、プロトタイプとしては先行したSolarImpulse1がある。軽量化するために薄膜太陽電池(135ミクロン厚)としたことである。機体重量の2.3トンに対してバッテリー重量27%となる。
動力を持つ航空機の世界一周記録条件は、すべての子午線を通過して出発地に戻る距離、36,787.559 kmであるので、巡航速度70km/hでは525時間となるはずだが、5日であれば巡航速度は306km/hは必要になる。
SolarImpulse1では8500mの高度を70km/hで飛行する性能であったが、それではとても間に合わない。モーターの高出力化(注)が必要になるので技術的には、SolarImpulse1と比較にならないくらい高度な挑戦といえるだろう
(注)先行したSolarImpulse1では10馬力モーターであった。Impulse2のモーター仕様は不明であるが、より高出力モーターが装着されていると考えられる。