2006年のデイカプリオ主演の映画"Blood Diamond"は西アフリカシェラレオネで紛争の資金調達のために不法取引される「紛争ダイアモンド」を話題としたサスペンスであった。デイカプリオは白人傭兵の役で紛争ダイアモンド(注)を国境を接するリベリアに密輸しようとする。
紛争ダイアモンド
(注)紛争ダイヤモンドに汚れた西アフリカの諸国(下記)は内戦で悪名高い国でもあった。アンゴラ、シェラレオネ、リベリア、コートジボワール、コンゴ。国際的にこれらの国から紛争ダイアモンド輸入が禁止となったが、シェラレオネからのアメリカへの輸入を禁止したのはクリントン、その後にリベリアからの輸入を禁止したのはブッシュ(父)であった。
紛争ダイアモンド禁止のために監視体制を唱えたカナダは20世紀初頭に原産国となり自国のダイアモンド価値を守るためだったともとれる。内戦終始という名目で先進国がカルテルで紛争ダイアモンドを押さえ込み価格を維持したといえなくもない。
シェラレオネ独立と内戦
シェラレオネは解放奴隷の移住地として1808年にイギリスの植民地となったが、独立は1961年でそれまでは、本国で違法となった黒人奴隷を合法的に働かせる隠れ蓑であった。皮肉にも首都はフリータウンと呼ばれたが、1961年の独立語も内戦が続いた結果、世界で最も平均寿命が短い(WHO報告:46歳)不名誉を受けることになった。シェラレオネとはスペイン語でライオンの山脈という意味であるが歴史は古く、1447年にポルトガル人がこの地を獅子の山と名付けたことに起因する。
18世紀後半になるとイギリスの奴隷解放運動がさかんになり解放奴隷(自由奴隷)をアフリカに戻し、定住するために植民地をつくることになった。イギリスの力が及ぶシエラレオネ保護領と植民地は政治的には明確に区分されて、保護領では圧政に反抗するため紛争が絶えなかった。ようやく独立を遂げても内戦が続き軍のクーデターが起こり、武装蜂起組織が政権を握り2002年に終結するまで内戦で血が流された。
シェラレオネの紛争ダイアモンド
シェラレオネは1930年からダイアモンドが発掘されると映画で描かれているように戦争資金を得るための紛争ダイアモンドの密輸が活発化する。冷戦時代にはそれぞれの陣営から無償供給を受けていた武器弾薬は冷戦終結と同時に購入しなければならないので、そのための資金調達がダイアモンドであった。戦争は資金がなければ継続できない。その意味で戦争を終結するためには資金源である紛争ダイアモンドで外貨獲得できないようにすることが早道であった。
黒人奴隷の誘拐、人身売買などは目をつぶり処遇に困ると、西アフリカに送り返して植民とした先進諸国は思わぬところで、恐怖を味わう。シェラレオネ、リベリアはエボラ出血熱の患者数のほとんどがこの地域の住民である。患者達は治療や隔離に抵抗するため封じ込めに支障を来している。
またチャールズダンカンのように、自分が感染していることを知ってもウイルス兵器のように街中を歩き回る男もいる。人々のすさんだ心をつくりだしたのは先進諸国であったのだ。