連邦準備銀行 (Federal Reserve Banks, FRB)

Feb. 12, 2015

 

 連邦準備銀行(FRB)は一般には誤解が多い。アメリカの中央銀行は制度的には「連邦準備制度」と呼ぶ。中央銀行といえば独立権を持つにしても公的な機関のイメージだが、FRBは完全に私的な機関であり、その証拠には電話帳の官公庁のページに記載はない。


 しかし日本銀行同様に中央銀行機能の最たる紙幣発行業務を司る。FRBの株式は民間金融機関が所有していて、連邦議会には監査権はない。FRBの長は議長で現在は15代目にあたるジャネットイエレンである。


ジキル島の秘密会議

 1776年の建国以来アメリカには中央銀行はなかったが1910年にジョー=ジア州沿岸のジキル島(注)でJ.P.モルガン、ジョンロックフェラー、ポールウオルバーグ等の金融有力者が秘密会議を開き、金融業界保護のためにアメリカを12地区に分けてFRBを置く、連邦準備制度が1913年に施行されることとなった。


(注)ジキル島の会議は上の写真のような邸宅で行なわれた。ジキル島の秘密会議メンバーは次の通り。

ネルソンオルドリッチ(共和党上院議員)

エイブラハムアンドリュー(通貨委員会特別補佐官)

フランクヴァンダーリップ(ロックフェラー財閥代表)

ヘンリーデイヴィソン他2名(J.P.モルガン財閥代表)

ポールウオルバーグ(ロスチャイルド代理)


 ジキル島の秘密会議後の議会承認は簡単には行かなかったが、ウッドローウイルソンを操って連邦準備制度設立となったが、金融が支配力を高めるきっかけとなった。



公的業務を行なう私的機関

 業務としては銀行の中の銀行と呼ばれるように、(1) 全米の銀行の監督、(2) 金融政策、(3) 支払制度の運営、(4) 財務省証券の売買、である。FRBは紙幣発行業務を行なうが、デフレ脱却を目指して2008年のQE1から続く量的緩和(QE)政策には過剰なドル紙幣乱発でマネーサプライによるインフレ懸念を引き起こしている。


 12地区の中で中心的な役割を果たすのはニューヨーク連邦準備銀行である。その住所33 Liberty Street, Manhattan, NYC, NYの33という数字はたびたびFRBの代名詞として使われるほど、有名な存在である。


 1979年からの歴代議長、ポールヴォルカー、アラングリーンスパン、ベンバーナンキはいずれも大統領執務期間にまたがり、金融政策によって世界に影響力を及ぼしてきた。世界の経済に影響を与える存在でありながら議会が監査権を持たないため公開された情報は極めて少ない。