ストックホルムの移民暴動(2013)
若い世代に人気のスウェーデン
スウェーデンにはIKEA(北欧家具)、ERIKSON(携帯)、H&M(ファストファッション)、VOLOVO(車)など若い世代に人気のある企業が多い。先端性のあるデザインや車では独特の安全機能が受けて、こうした会社は日本国内での目立つようになった。スウェーデンとはいったいどのような国なのだろうか。
1932年に社会民主労働党政権となり、スウェーデンは比類の無い「福祉国家路線」が支配的イデオロギーとなった。現在のスウェーデンはNATOから距離を置き、鉄鉱石の原料が豊富なためSAABなどの軍需産業がさかんで、スイスとともに武装中立政策をとっている。このため世界大戦に参加せずその被害を受けることはなかった。
人口問題
人口減少傾向を抱えるスウェーデン(注)は人口増加のために移民政策をとった。人口増加と引き換えに外国人の持ち込んだ文化により自国の文化が変貌を遂げつつある。2011年の統計によると、スウェーデンの総人口の約27%にあたる2,000,000人が、全面的、または部分的に外国人である。移民の出身はフインランド、ポーランド、ユーゴスラビア、ボスニアヘルツゴビナ、ドイツ、デンマークなどのヨーロッパ諸国に混じってイラク、イラン、トルコ、ソマリアなどのイスラム諸国が多い。中でもイラクはフインランドに次いで人数が多い。
(注)人口9596,000人(2013年)
特に1970年代初頭から、スウェーデンへの移民の殆どは中東や南米からの移民や、その家族が占めた。最近では2013年9月に、シリアからスウェーデンへの亡命希望者全員を受け入れ、永住権を付与すると発表したことが記憶に新しい。
ゲットー化する移民
移民の多くはスウェーデン固有の文化に溶け込まず自国の文化をつらぬくため社会的混乱が生じている。移民は都市部のゲットーに集まって生活しているが、時として警察の対応が暴動に発展する。
2013年には移民男性が刃物を振り回して暴れた後にアパートの一室に立てこもり、警察官が室内にいた女性を助けようと踏み込んだところ反撃されたため、男性を撃って死なせてしまった。この事件への抗議暴動は全国に拡大し、ストックホルムとその周辺では車や学校への放火が相次いだ。これらの暴動は、基本的に、移民の若者の一部が、ままならない日常生活のなかで蓄積させていた不満を爆発させたもので、ストレスの溜まった移民の社会からの孤立は一触即発の危機を抱えている。