2014年12月28日、マレーシアのメディアによると、インドネシア運輸当局は、インドネシアのスラバヤから、シンガポールに向け飛行中の、マレーシアのエアアジア機(QZ8501便)と連絡が取れないと伝えた。乗客155人、乗員6人が搭乗している。現時点で限られた情報しかないが、「正規の飛行ルート変更」の申請の後、消息を絶ったとされ23人が登場していないことが知られている。マレーシア航空MH370便の消息も以前不明のままであることから、世界中の注目を浴びている。
事件の国内報道に海外メデイアと「温度差」と「時間差」が著しくなって来た。国内の報道では「消息を絶つ」、「残骸も」というままだが、すでに海外メデイアの報道の論点は悪天候にも関わらず出発を強行したエアラインの責任と、発着の最終決定権がエアラインにある管制システムへの批判が争点となっている。
LCCでは路線を1日に何度も往復させ、地上にいる時間が少ないようにして採算性をあげる。なので定時運行が重くのしかかる。エアラインの内規で発着遅れにペナルテイを課していたことも世紀のクラッシュと呼ばれるタナリー島のKLM機とパンナム機の滑走路上での衝突事故につながった。乗客の声明と採算をはかりにかけるエアラインの実態がこの事故でクローズアップされるだろう。不思議なことにそのことにふれた国内報道はまだない。
エアーアジア
クアラルンプール国際空港に拠点を置くマレーシアのLCC。機材は2006年からBoeing737-300をエアバスA320-200に置き換え始め、現在はA320-200を67機保有している。今回行方不明となっている機体もA320-200で最終メンテナンスは2014年11月で整備直後の飛行である。LCCとしては規模が大きくアジアを代表するLCCである。エアアジアグループのエアラインには長距離路線に特化させた10社以上が含まれる。
エアーアジアは創立以来、無事故でかつ機体も新しいためLCCの模範とされて来た。LCCゆえに機体が古くメンテを怠って事故を起こした例はある。バリュージェット機墜落事件である。
しかしこのイメージはLCC一般にあてはまらない。むしろ一機でも墜落すれば致命的となる綱渡り的な経営のためか、安全性には気を使っている。このため統計的には大手エアラインよりむしろ少ない。
エアバスA320
エアバスA320は1987年に初飛行した機体で、標準で150座席の中距離路線を念頭において開発された。Boeing737シリーズと競合する。世界初の軍用機と同じフライバイワイアー操縦システムで話題となった。A320-200は318、319、321というファミリーの中で、最も生産の多かった機体である。国内線用に需要の多い機体のため、新たにA320neoという機体(注)も開発中である。
初就航した1988年から26年という長い期間に6,000機以上が生産された。日本でもANA、スターフライヤーを始めピーチなどのLCCでも使われている。エールフランスの296便がデモフライト中に墜落した事故は不幸なスタートであったが、その後、経済性と信頼性が高まり、世界中のエアラインで採用が相次いだ。
(注)A320neoはエンジンの異なる新しい機体なのでA320-200など旧型はA320ceoとして区別される。