ドイツ難民を混乱させたメルケル

Sep. 9, 2015

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シェンゲン協定

EUに加盟している25カ国の間では国境検査なしで国境を越えることを保証する協定。入国管理においてシェンゲン協定に加盟している国のパスポートを持つ旅行者はいわゆるパスポートコントロールの長い列に並ぶ必要はない。


そのため空港ではシェンゲン協定に加盟していない国からの旅行者が1時間近くかかって、バゲージクレームに行くともう荷物の引き取りが終わって、荷物が床に置かれている経験をする。


一昔前は国境を越える列車内でパスポート審査が行われていた。現在はEU加盟国でシェンゲン協定に加入していないのは英国、EU非加盟国でシェンゲン協定に加盟しているスイス。実際には欧州は自由に行き来できる。(注1)


(注1)筆者の経験では北イタリアから陸路でスロバニアに入国するときにはかなりきびしい検問を受けた。シェンゲン協定に加入していないからであるが、クロアチア、スロバニアも将来は加入予定。



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ダブリン条約

シェンゲン協定の関連規則のひとつ。第三国すなわち難民あるいは亡命希望者がシェンゲン協定では 最初に入った国で難民申請をし登録をすることを定めている。

第三国からEUに国境を越えて入った場合、難民申請が済むまでは最初に入った国から外には出られない。


メルケル発言が誤解を生んだ

メルケル首相は「シリア難民に限って受け入れる」としているが、ダブリン条約によればハンガリーで足止めをくっている難民は難民申請をしていることが前提のはずである。ダブリン条約に忠実に従ったハンガリーはあまりにも大量の難民希望者の書類処理ができないため足止めになっていた。しびれをきらした難民たちはドイツに行けばなんとかなると誤解して、道路をつかった大移動が始まった。


きっかけはメルケル首相がダブリン条約を無視したことが原因である。ハンガリーが書類の処理能力に限界があるのなら、臨時に職員を派遣し同時にバスもだして混乱を避ける機会はあったはずである。ハンガリーが難民はドイツの問題、という意味はダブリン条約を無視した、責任をtれ、という妥当なものであった。