自分と家族を守る"Preparedness"

Jan. 27, 2015

 

 

 プレッパーズ(Preppers)という言葉をきいたことはないだろうか。この表現は比較的新しいが、冷戦時には核シェルターを家庭に備える人は非常に多く、学校でも核攻撃を受けた時の非難方法を叩き込まれた。上のような高度なシェルターでなく地下室をレンガで補強した簡易シェルター(下)はたいていの家庭にあった。


 今また別の意味で人類の危機に備える人たちが増えている。世界規模の経済危機が警告されている。そうした危機的状況では(暴動が起こることが予想されるため)、自分と家族、仲間のために、避難場所と食糧等生活必需品を備蓄する人々がプレッパーズだ。彼らはもはや冷戦の遺物ではない。



 

 プレッパーズはナショナルジオグラフィック社の人気TV番組でCATV等でみた人もいるだろう。番組で紹介されるプレッパーズが安全と考える場所は 一昔前の地下室シェルターではない。


 のめり込んだ人の中には大陸間弾道弾の地下サイロを軍から買い取り、中に居住区と食糧備蓄庫、さらに自家発電機能まで備える徹底したものから、コンテナを溶接してつなぎ合わせた自作の要塞まで様々なしシェルターと食糧備蓄で生き延びようとする。食料庫には自家製の保存食が大量にストックされている(下)。

 



 ではそれほど苦労して備える地球規模の危機とは一体何だろうか。確かに異常気象が頻発していて、超大型竜巻、巨大地震、津波、火山の噴火、洪水などの自然災害は可能性が高くなっていることは間違いない。しかし気象災害や核物質汚染よりも、紙幣の暴落による経済危機が迫っていると考える人が増えているのだ。大恐慌では電気が止まり、食糧を求めて暴徒化し都会は無法地帯となる。



 公的なシェルターでは2週間から数ヶ月の食糧が備蓄されるが、プレッパーズは1-2年分の食糧を備蓄し、種子を保存し、雑草や昆虫まで食しても生き残る訓練をしている。暴徒がシェルターに押し寄せることを考慮し、武器や弾薬も備蓄している。ドイツでは公的シェルターが整備されているが市民に優先権を設定し、規則に沿って社会保全のために必要とされる人たちを優先して守る「ノアの箱船」構想である。



 普段から災害や社会的危機に備える気持ち、"Preparedness"を持つことが重要だが、やはり何が起こっても慌てないで済むような緊急時のマニュアルを頭に置き、緊急食糧、水、医薬用品、バッテリー、ライトなど下の写真のようなバックパックを備えておくことは最低限必要なのではないだろうか。