中国新幹線のセキュリテイ度

July 17, 2015

Photo: Luxury Travel MAGAZINE


長い間日本が堅持してきた新幹線の無事故記録は火災事故という不名誉で置き換えられてしまった。一方脱線事故により中国の新幹線の運用面での安全性は失墜したが、中国新幹線の対テロセキュリテイ度は意外に高い。


順を追って説明しよう。まず新幹線チケットを購入するのにIDが必要となる。面倒なので筆者は現地の人にパスポートを渡して購入してもらう。


代理で購入できるなら本人確認とはいえないが、チケットに名前が入るくらい搭乗者の身元にこだわる(下の写真)。


Photo: Ecns.cn

 

ブログや旅行記の中にはいかにも簡単に窓口でチケットを購入できる記述をみかける。筆者は推奨できない。長距離路線では荷物が足元におけるスペースの広い1等(日本の新幹線のグリーン車並みだが価格は安い)客室チケットを、自分の都合に合わせて購入するにはネット予約が便利であるが、常にIDまたはパスポートを準備しておく必要がある。

 

 

駅に着くと構内に入る際に手荷物検査がある。構内に入る際に入り口でチケットと外国人はパスポートを用意しスキャナーを通す。そのあと表示板で列車名(Gで始まる列車は特急)を確認し、対応する待合室に移動する。写真のように黒山の人が並んでいることが多いが、空いた場所もあるので要領よく席を探すこと。



Photo: Help Free Adam

 

日本の新幹線では改札を通りホームで列車を待つことが普通だが中国ではそれができない。発車、到着時刻ぎりぎりにならないと改札が開かない。待合室に座っていた人々が移動して改札に列ができると発車あるいは到着時刻が近いということ。

 

 

ようやく改札を通り抜けるとホームに移動し自分の車両を探して乗り込むのだが、このとき列車に車両番号がある以外、ホームに表示は一切ない。また大都市の駅構内は大理石床なである。プラットフォームも大理石なので停車位置が書き込まれた日本の新幹線のようにはいかない。(さすがに地方の小都市の駅では大理石床はない。)

 

車内販売が行き来する点は日本の新幹線と同じであるが、中国独特のサービスとしてフレッシュフルーツ盛り合わせなど特別なサービスもあり、若い女性に人気がある。車内ではスマホや携帯で煩い客が多い。

 

日本の新幹線は6路線合計して2,616km、年間利用者数3億3千万人だが、中国新幹線の建設ピッチと路線の長さは4,175kmで利用者は6億人である。路線の長さは現在も急ピッチで伸びており2010年時点で30,000km以上の建設途中である。

 


Photo: The Economist

 

中国の新幹線建設ラッシュはいつまで続くのか見当もつかない。路線計画は大都市から地方都市へ、さらに人口の少ない地域へと延びるにしたがって採算性は悪くなる。採算の取れない路線は開始早々に休業となることも珍しくない。路線を引くことが鉄道関係役人の功績になるのだろうが、採算性が悪いとなったら簡単に廃止。中国高速鉄道は見直しの時期が近いが、建設をやめられないのが実情なのだろう。