Photo: Hilton
どの宗教でも宗教指導者、預言者は贅沢な生活を退けなるべく質素な生活を送るのは、信者の信頼を得ることに役立っている。預言者モハムドもその一人で質素を通り越して、生きるのに必要な量以上の食べ物を口にしなかったという。
1日5回、メッカの方向に向かって3回礼拝を行う。イスラム教の信者は一度は最大の聖地メッカを訪れる。メッカはアブラハムの谷と呼ばれる山々に囲まれ地形的に他の宗教巡礼地が大抵そうであるように、行きやすい場所ではない。
巡礼に訪れる198万人にのぼる信者は巡礼の5日間、テントを張ってそこから巡礼に向かうのが慣習であった。メッカを擁するサウジアラビアの発表では138万人が国外から、60万人が国内からの巡礼者である。
メッカの中心にはもっとも神聖なマスジド・ハラームがあり、ここが街の中心でもある。巡礼者で溢れるこの場所からみえるところに最近新しい建物がたてられた。メッカ ヒルトンタワーズ。5星の高級ホテルである。
ホテル概要(JTBホテル予約サイトイから抜粋。)
Photo: Tripadviser
ロケーション: メッカ中心部に位置するこの高級ホテルは、キング ファハド ゲートから 0.3 km、Jannat Al Moaalah Graveyardから 3.3 km 、アブラジ アル ベイト タワーおよびファキー モスクも 10 km 圏内。
ホテルの設備: 3 軒のレストラン、無線インターネットアクセス (有料)、およびロビーでのコーヒー / ティーサービスがある全館禁煙のホテル。その他の設備には、セルフパーキング (有料)、24 時間対応ルームサービス、およびドライクリーニング。
客室内の設備とサービス: 全 798 室の客室には簡易キッチン (冷蔵庫付き) のほかに、ソファーベッドおよび液晶テレビ (衛星放送付き) が備わる。24 時間対応ルームサービス、WiFi、および有線インターネット。
レストラン
Al Fayhaa restaurant - このレストランは多国籍料理専門。
EL Etlalah Restaurant - このレストランはインドネシア料理専門。
Al Andalus restaurant - このレストランは多国籍料理専門。
サービス料
Photo: Tripadviser
写真のようにレストランから巡礼者を見ながら食事ができる。しかしいったいどの巡礼者がこのような席から巡礼に参加するというのだろう。筆者もビジネスにおいては各地のヒルトンを利用することが多い。理由はヒルトン一流のスタンダードを守りつつ、その土地の特徴を巧みに取り込んで違和感のないきめ細かいサービスに定評があるからだ。
しかしこの地メッカを見下ろす場所に高層ホテルをいったい誰のために立てるのか少々疑問を感じざるを得ない。またメッカ近くにMakkah Mallという巨大なショッピングモール(下の写真)が完成した。
Photo: Kenny Hassan Irwin
明らかに中東富裕層が顧客である。贅沢三昧のイスラム教徒たちをモハムドがどう感じるかは別にして、西欧化が確実に進んでいるイスラム圏を象徴している。堕落なのか、進歩なのか。少なくともキリスト教では"GREED"という7つの大罪の一つだろうが、そんなことはおかまいなし、である。西欧化の行き着く末は退廃なのだとしたら、何を意味するのか興味深い。