Photo: The Telegraph
1月にパリで起きたシャルリー・エブト襲撃事件が発生した後、現場近くにいて、最初に現場に駆けつけたのは元コラムニストで救急救命医師のパトリック・ポルーであった。ポルー医師は偶然にも、13日に起きたパリ同時多発テロ事件現場にいた上、フランスの公共ラジオでテロ事件直前にインタビューに応じている。
テロ現場にいた緊急救命医師
「偶然にも、救命救急センターで複数の現場での多発攻撃の演習に当たっていた。そのため、我々は準備が整っていた。ここで警察、消防隊、緊急救命士や医師、その他の関係者が動員され、可能な限り多くの人の救命を行う演習を行った。」と述べている。確かに、テロ事件に対する警察や特殊部隊の対応は早かった。偶然にしては出来すぎていると誰でも思うのではないだろうか。
この偶然は今回のテロ事件に限らない。架空のシナリオに従って大規模演習を行なったその日または演習の途中で実際に大規模なテロ事件が起きたのは今回で3回目である。1回目は2001年の 9/11事件の数分前にCIAは、航空機がビルに激突した場合の緊急対策のシミュレーションを行っていたこと。2回目は2005年7月7日に起きたロンドン同時爆破事件は、対テロ訓練を行っていた同時刻に起きた。
9.11の朝にCIAのシミュレーション演習
アメリカ国家偵察局(National Reconnaissance Office)で、リスクと脅威への対応評価、シナリオ・ゲーミング、戦略的計画の専門家でCIAのジョン・フルトン氏は、9/11事件の朝、ビルにジェット機が突入した場合を想定し、その緊急対応策の分析を行っていた。
9/11事件の10ヶ月前の2000年10月には、旅客機がアメリカ国防省に墜落したことを想定した軍事演習を行っている。国防省の緊急対応部署とペンタゴン防護局との共同演習であった。後に、ブッシュ大統領はこの演習を「奇妙な偶然」と述べている。
7.7ロンドン同時爆破事件と同時刻に訓練
事件発生とほぼ同時刻に、地下鉄の複数の駅で同時多発爆発テロが起きたという想定で、ロンドン警視庁と民間の危機管理会社のVisor Consultantsと対テロ訓練を行っていた同時刻に起きた。このことは、テロ事件後のBBC放送でVisor Consultants経営幹部のピーター・パワー氏とのインタビュー(下の動画)で明らかとなった。
「朝9時半ごろ、1,000人以上を含んで、ロンドンのいくつかの地下鉄駅で同時多発テロを想定した訓練を行っていた同じ駅で実際の爆破テロ事件が起きた。危機管理の担当者たちが集まっていたので、事件発生から5分以内に、対応策を決定するといった素早い対応ができた。」と述べている。