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中国がジブチ共和国に軍事拠点の建設に動いていることはすでに記事をかいたが、このたび整備を本格化した。
ジブチはイエメンの対岸、アデン湾に面した紅海の出口に位置する小国で、軍事的な重要性から4,000名の米海軍がチョークポイント(注1)と周辺国の安全保障のために配備されていた。
(注1)チョーク・ポイントは1日に370万バレルの石油が通過する。その量はマラッカ海峡を通過してアジアへと運ばれる石油の1/4であることから、アジアの原油確保に果たす重要性が伺える。自衛隊600名が海賊対策でジブチに展開したことはこのためである。
中国がジブチ政府との合意で今後10年間にわたり港湾を中心とした基地建設を本格化することとなった。中国軍の基地はアジア圏の国々のアフリカに物流拠点とすることを目的としているとされるが、弱体化した米国に代わって軍事的要所を押さえることも狙いのひとつである。
なお米国もジブチ政府と軍事協定を10年延長し、中国に対抗する姿勢を強めた。
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中国は2000億ドルを超える2014年度実績(2000年から100億ドル増加)で、アフリカ貿易の首位にある。中国は沿岸(自国領土)地域以外に公海上でも自国の輸送船を守るために、海外で海軍の存在力を高めるとしている方針を打ち出した。これまで中東・北アフリカにおける軍事勢力は米軍が中心で、シーレーン安全保障を担ってきた。
上院外交委員会のアフリカ担当、Chris Coonsは中国の「世界進出の野望」に注意する必要があると警告した。アフリカの中間層は急速な経済発展によって政府、企業が貿易拡大を望んでいる。
中国が南シナ海に埋め立てて人口島を建設し、自由航行ができていたシーレーンに睨みを効かせる事態は米国内で深刻な自由貿易の脅威と受け止められている。ジブチはアジアへの原油輸送とアフリカへの物流のチョークポイントであり、中国のアフリカ進出への拠点でもある。ジブチの安全保障はこれらの点でこれからの世界情勢に強い影響力がある。弱体化する米国と勢力を強める中国の均衡が崩れつつある。
海賊から輸送船を守る安全保障上の軍事拠点なのか、チョークポイントに睨みをきかせるなど、それ以上の意味がある軍事拠点なのか現時点では不明だが、今後の動きに注意を払う必要がありそうだ。