中国の支配が進むアフリカ、ジンバブエ

26.12.2015

Photo: ft.com 

 

 アフリカ南部の国、ジンバブエは中国元を自国の法定通貨として公式に認めた。これは、現在使われている米国ドルから中国元への切り替えの始まりで、欧米から中国との関係強化へのシフトでもある。言い換えれば、アフリカにおける欧米の政治的・経済的影響力が弱まり、中国の影響力が強まっていることを表わしている。

 

 

ジンバブエが米国ドルを自国通貨に

 財政赤字の埋め合わせとして、ジンバブエ中央銀行は政府の意向で紙幣を増刷し、マネースプライを拡張した。それで財政赤字を抑えようとしたのである。増刷により2008年には、5,000億%のハイパーインフレを招き、100兆ドルの紙幣まで印刷、自国通貨は紙切れ同然となっていった。遂に、2009年に自国通貨である、「ジンバブエ・ドル」を廃止、貿易の取引決済に使われていた米国ドルを主に英国ポンドと南アフリカのランドを法定通貨として使うようになった。

 

 

Source: fastcompany.com

 

中国との関係強化

 欧米との貿易と支援が減少するなか、中国との貿易が増加、最大の貿易相手国となる。中国はアフリカにおける貿易と中国元の使用の拡大のために400億ドルのインフラ投資をアフリカ政策とした。その内の、10億ドルがジンバブエの火力発電所の建設投資に当てられた。しかし、欧米から「独裁者」と人権問題、汚職、経済政策の失敗でジンバブエ経済の低迷は続き、失業率は80%まで達した。

 

 今回の中国元を法定通貨と認める決定は、中国がジンバブエに対する10億ドルの内の債権4000万ドル(約48億円)を免除したことの見返りである。中国元を法定通貨にすることで、貿易決済や中国人観光で得た中国元で、残りの返済を支払うことができる。言わば、米国ドル離れである。

 

 アフリカ諸国と中国の貿易は、年間2000億ドルにまで達している。そうして、多くの国は中国との関係強化を諮っている。貿易決済を中国元に切り替える国が増えれば、米国ドル離れはさらに進む。

 

 

ジンバブエの貴金属資源

 ジンバブエは金、プラチナ、銅、鈴、ニッケルなどの貴金属とダイアモンド資源が豊富な国である。プラチナの埋蔵量は世界で2番目に大きいと言われている。資源は豊富だが、経済は破綻状態であるため、採鉱業界は全滅。そこに注目したのが中国である。今後中国はジンバブエの採鉱業界への投資を拡大すると見られる。万外、債権をデフォルトすることがあれば、ジンバブエの金山、ダイアモンド鉱山、プラチナ鉱山などの買収することになる。

 

 

Source: nedawn.com

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