Photo: Livetradingnews.com
米国フォーブス誌によると、アメリカは1962年以降債務上限引上げを74回も行ってきた。今回75回目となる債務上限引上げは18.5兆ドルから20兆ドルで、2017年3 月までの期間である。その債務額に関して、ウォーカー元会計検査院長は政府公式発表よりはるかに巨額である65兆ドルであると発言したのである。
デイブ・ウォーカー氏はクリントンとブッシュ政権下で会計検査院長を長年務めた。年金、高齢者医療保険(メディケア)、貧困医療保険(メディケイド)、社会保証などの将来支出が見込まれる公的債務を含めると、債務額は18兆ドルではなく、65兆ドルであると指摘した。
財政赤字は210兆ドル
2014年に米国上院の予算委員会で、ボストン大学のローレンス・コトリコフ教授は財政赤字が公式発表の16倍の210兆ドルであると証言した。議会予算局が発表している「財政赤字13兆ドルとの差はどこからくるのか?」と驚いた議員が質問した。コトリコフ教授も本当の赤字額はウェーカー氏同様に将来支出が見込まれる公的債務が含まれていないと指摘した。これらの未積立債務額を含むと実に210兆ドルに昇ると述べ、債務問題の深刻さを訴えた。
コトリコフ教授は財政赤字が持続不可能であるうえ、増加率は危機的な状況にあると警告した。2003年には60兆ドルであった財政赤字は、2014年には210兆ドルまで膨れ上がり、オバマ政権下でその増加は加速していると述べている。
2008年には財政赤字が99.2兆ドル
本当の財政赤字額が公式発表とは異なると指摘したのはコトリコフ教授だけではない。ダラス連邦準備銀行のフィシャー元総裁は2008年に、未積立債務を含めると財政赤字は99.2兆ドルであると警告した。当時の人口で計算すると、国民1人当たりの借金は330,000ドル(3960万円)となる。この時も、財政赤字は持続不可能であると警告したが、それでもアメリカは財政赤字を拡大する道を進んだ。
米国が抱える公的債務額は計算によって3名の間で異なるが、確かなことは、正式発表の18兆ドルよりはるかに巨額で、持続不可能な深刻な状況にあるのは確かである。債務時計は表示桁数を増設しなければならないかもしれない。