モハーベ砂漠のメガソーラー

Dec. 8, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モハーベ砂漠の一部であるデスバレーは観光客には有名だが、カリフォルニア州の他、ユタ州、ネバダ州、アリゾナ州荷またがる広大な砂漠の大部分は乾燥地帯で降雨量は極端に少ない荒れ地である。


 そのため航空機の廃棄場所として使われている他は使い道のない荒涼とした砂漠地帯である。近年、降雨量が少ないことを積極的に使うメガソーラー拠点としてその価値が見直されている。

 太陽光発電開発を行うテキサス州、ヒューストンのTeserra Solar社が中心になってこのほどモハーベ砂漠にCalico Solar Energy Project と呼ばれるメガソーラー開発を行う。


 日本でいうメガソーラーの定義は1MW以上の発電能力だが、世界的には100MWクラスが発電量を競い合っている。Calicoの施設が完成すれば、設備容量は最大663.5MWとなり、50万世帯に電力を供給できるTessera Solar社は2009年に創立された比較的新しい会社でアリゾナ州を中心に中西部で太陽光発電開発を行って来た。


 

 年間降水量が150mm以下という乾ききった大地は低湿度と日射量の豊富さにおいて太陽電池パネルの設置に好条件であったが、実はモハーベ砂漠には同業者が先に開業していた。太陽熱発電である。


 太陽熱発電は太陽光を熱源として蒸気でタービンを回す再生可能エネルギーのひとつであり、太陽熱の直接的な利用は家庭用の湯沸かしや温水プールなどで昔から使われて来た。コストのかかる太陽電池パネルの代わりに光を集める集光鏡と太陽光追尾システム(ヘリオスタット)、受光と熱交換器、タービン発電機の組み合わせのため、スケールアップが容易な利点のため一歩先んじることとなった。

 


 モハーベ砂漠にはSolar Oneというタワー式(注)発電所が建設され、1995年にアップグレードされた後のSolar Twoでは出力が10MWとなった。此のたび完成予定のBrightSource Energy社が開発した17万枚以上の平面鏡(ヘリオスタット)を制御して、高さ150mのタワー3基の受熱器に集光する。発電能力は377MWで太陽熱で作った蒸気でタービンを回し、一般家庭14万世帯以上の電力をまかなえる。


(注)タワー周辺に配置したヘリオスタットで小さい平面鏡を大洋追尾して常に太陽光をタワー上部に集め、熱交換で水蒸気をタービンに送る方式。

 


 スペインのアンダルシア地方にあるヘマソラール太陽熱発電所は20MWなので、太陽熱で19倍、太陽光電池で33倍の規模のソーラー発電所が整備される時代となった。これは原子力発電所一基に相当する能力で、再生可能エネルギーも発電量で原子力をしのぐほどになった。


 

 砂漠というと日本と縁遠い印象であるが、日照条件の良い南西海洋に人口の太陽電池パネル浮島をつくり、海底ケーブルで送電すれば採算の点でも排出ガスゼロ発電が可能である。経済再生の点からもこうした大規模エネルギープロジェクトを金融政策とセットで実行する必要があるのではないだろうか。