中国経済の成長率が7%と6年ぶりの低水準であったにもかかわらず、中国株式市場は高騰を続けている。上海総合指数は7年ぶりの高値更新となっている。各経済指標をみても、景気の減速は明らかであるが、株価は景気と連動して動いていない。
株式証拠金債務と株式暴落の関係
株式証拠金債務(margin debt)は投資家が株を購入するために金融機関から借りる借金のこと。株式証拠金債務がピークを迎えた後に株式市場が高値をつけ、その後下落することから、株式市場がバブル状態であるかを示す指標の1つである。
過去の株式証拠金債務動向を見ても、1987の9月にピークを迎えた直後の10月にブラック・マンデーの株式暴落、2000年の3月にピークを迎え9月にITバブルの崩壊、2007には6月にピークを迎え10月にリーマンショックで株式は暴落している。(下の図参照)
図の説明:1987年ブラックマンデー、緑は株式証拠金債務、青は株価を示す
図の説明:2000年ITバブル崩壊、緑は株式証拠金債務、青は株価を示す
図の説明:2007年のリーマンショック、緑は株式証拠金債務、青は株価を示す
中国の株式証拠金債務
中国の株式証拠金債務は2015年4月末には2,640億ドルと過去最大の規模に膨らんでいる。アメリカの株式証拠金債務額も過去最大の4,125億ドルである。上の図の経験則からいえば両国とも株価暴落の危機に瀕している。
しかし、2つの株式市場の規模を調整して比較してみると、中国の株式証拠金債務額はアメリカの約2倍となる。上海総合指数と香港ハンセン株価指数が7年ぶりの高水準を再更新している背景には、株式証拠金債務の増加がある。
中国における株式売買の90%は個人投資家である。株式証拠金債務の増加が続ければ、バブル崩壊のリスクが高まる。中国政府は経済の減速とは逆に、景気回復と強気相場が続くことを強調している一方、株式証拠金債務額の拡大は注目を置いている。
株式証拠金債務を下げるため、国民の不満を受けながら資金借り出しに規制をかけるかの政治的決断が問われる。しかし、株式証拠金債務のピークは近い将来に達するとなれば、株式暴落は避けられない。