Photo: NT News
国会でも自衛隊の国外での軍事行動の範囲が大きな問題となっている。陸上自衛隊が7月に初めてアメリカとオーストラリアの演習に参加することになった。
写真はオーストラリアから参加する19,000名の兵士のひとつ、Townsvilleに駐屯する陸軍第三連隊の兵士。
連日、国会で論争の話題となっているのが、どのような状況下で専守防衛の拡大解釈として、自国と同盟国軍を守るための軍事行動が許されるかという点だが、海外での自衛隊の表現は軍隊、”Troops”である。また国会の議論によらず7月に初の海外演習が予定されていると報じられている。
2年間に渡る”Talisman Sabre”は27,000人の軍人が参加して行われる、アメリカとオーストラリアの同盟関係を強固にする軍事演習で7月に自衛隊が初参加することになった。Guardianは自衛隊初の海外演習としているが、実際には2014年のリムパックですでに海外演習に参加している。重要な点は専守防衛に留まらず、将来の国外での活動が前提となったことである。
Photo: The Guardian
海外では”Army”と同義と解釈されている陸上自衛隊は、今回40名がTalisman Sabreに参加する。政府説明によれば自衛隊独自の参加ではなく米海兵隊とともに参加して日米間の軍事連携能力を高めるのが狙いだというが、同時にオーストラリアと日本の協力関係も強化されることになる。
自衛隊の演習参加は南シナ海の人口島の基地化を巡ってアメリカとオーストラリアが連携して中国に圧力をかけている最中のことであり、この演習で3国が連携する用意があることを示す政治的効果も考えられる。
中国政府は南シナ海のほとんどを自国領土と考えており、一部領有権をめぐってアメリカの友好隣国フイリピン、ベトナムと争っている。東シナ海の尖閣諸島をめぐる日中の問題も継続している。これらの事態から太平洋の安全保障、特にチョークポイントであるこの地域の交易の安全保障をめぐって、アメリカは友好国を集め軍事的連携を高める必要性は高いとみられる。
7月にはインド、アメリカ海軍と海上自衛隊の演習(Malabar Exercise)も予定されているが、これは海上自衛隊としては3度目の参加。「掃海作戦に限る」などという国会での無毛な議論をよそに、どんどん自衛隊という軍隊が国外で作戦行動にでる時期が現実的になってきた。