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ダボス会議で知られる世界経済フォーラムはグローバルエリートたちが集まって未来社会の方向性を議論する場である。その世界経済フォーラムの「未来の雇用に関する報告書」は雇用市場に暗い影を落とすこととなった。2016年1月20-23日に開かれた会議直前に公開された報告書によると、「先進国のみならず発展途上国にいたるまで工場のオートメーションとロボット導入によって産業構造が大きく変動する」という。
第4次産業革命と呼ばれるこの変革は一部の地域で雇用は成長がみられるものの主要産業で500万人が失業するとしている。産業革命と呼ばれる所以はこれまで独立に成長してきた分野、AI、工作機械の学習機能、ロボット、ナノテク、3Dプリンター、遺伝子工学、生体工学、のシナジー効果による。
こうした産業構造の変革に対応した未来を担う人材を育成するために具体的な目標設定と行動を起こさない限り、政府は失業者対策に追われることになる。
もっとも影響を受ける国々はオーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、英国、日本、アメリカとしている。
「未来の雇用に関する報告書」では被雇用者を動的に配置する最良の人材を掌握する「人材と戦略を統括するCEO」が重要になると指摘している。報告書はさらにこの変革が地域を越えて影響を与えると考えられる雇用、スキル、リクルートの未来像についてかかれている。
一部の産業については雇用の成長はあるがビジネスリーダーたちは小規模な熟練工を抱える職種は変革による失業者層を吸収できないとみられる。ドイツ政府がIndustry4.0(IoT)に積極的に取り組むのも、やがて世界的に起こる産業改革に備えるためである。
工場のロボット化にいち早く取り組んだ日本もうかつにはいられない。なぜならこの変革は労働者の負荷を軽減するためのものではなく雇用を最小限にするためのものである。また熟練工の技術をロボットが学び同等の作業を24時間絶え間なく行えるようになれば、熟練工の存在自身意味を持たなくなる。
これまでのロボット技術にAI、IT、ナノテク、3Dプリンタ技術を統合しインターネット接続(Industry4.0)する産業革命は単なる予測でなくビジネスリーダーたちの未来図でもある。
Source: industrialagilesolutions.com