サウジアラビアの核保有疑惑

20.02.2016

Photo: AL Arabiya

 

 サウジアラビアの著名な政治アナリストDahham Al-‘Anzi15日のRTアラビックのTVインタビューで、アラブ諸国はシリア、アサド政権の交代を望んでおり、そのためには地上部隊の派遣が必要だけでなく、シリアの軍事侵攻は確実に起きると述べた。イランの脅威に備えてこれまで、米国から兵器購入を拡大してきたのは、アラブ諸国とイスラム教徒たちを守るためで、『サウジアラビアは核爆弾を持っている』と付け加えた。

 

 欧米6カ国とイランとの間で核開発協議が合意した2015年の時期に、サウジアラビアがパキスタンから核爆弾を購入する可能性がニュースとなった。サウジアラビアと米国は否定を続けてきたが、2013年にも英BBCによって、パキスタンがサウジアラビアの依頼で核爆弾を開発、サウジアラビアは運び出そうとしていることが報道された。

 

 サウジアラビアとパキスタンとの関係は1970年代にまで遡る。核開発への協力体制で資金援助を行ってきたが、2003年にイラクのサダム・フセイン政権が崩壊してから、サウジアラビアは核兵器拡散の可能性を安全保証の一環として、核武装を真剣に考えるようになった。その後、イランが核開発を進めることになれば、核武装に踏み切ると米国に警告を発してきた。

 

 

トルコに軍配備

 サウジアラビアはシリアにおける「デーイシュ」(イスラム国)との戦いを強化するための名目で、兵士と戦闘機20機をトルコのインシルリク空軍基地に配備した。しかし、サウジアラビアはこれまで、シリア問題の政治的解決がなければ、武力でアサド政権の交代を求めると公言、地上戦に備えて150,000名の兵士を派遣する準備はできていると伝えている。

 

 しかし、テロ組織の撲滅であれば、「ダーイシュ」と戦っているアサド政権の交代を求めるのは論理的に説明できない。ロシアが指摘しているように、トルコとサウジアラビアは「ダーイシュ」に資金援助と武器提供を行ってきたことが事実であれば、今シリアのアレッポで、「ダーイシ」が存続をかけている戦闘に介入するのは必然的である。

 

 

サウジアラビアで合同軍事演習

 サウジ主導のアラブ連合軍が2015年3月に発足して以来、サウジアラビア北部で、中東でこれまでで最大規模の陸海空合同軍事演習が214日から310日まで実施される予定である。 「北の雷」(Thunder of the North)と呼ばれている軍事演習は、20カ国と湾岸協力評議会の軍隊「半島の盾」、軍用機2,450機、戦車200,000台、軍ヘリコプター460機、総勢350,000人の部隊で18日間行われる。

 

 参加国には、サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、セネガル、スーダン、クウェート、モルディブ、モロッコ、パキスタン、チャド、エジプト、チュニジア、オマン、マレーシア、コモロ、ジブチ、マリータニア、モーリシャスと湾岸協力評議会の軍隊「半島の盾」などのスンニー派国が中心となっている。

 

 

 この合同軍事演習が終了する310日以降、何が起きるかが注目される。