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ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、エコノミスト誌、外交評議会、ダボス会議、ビルダーバーグ会議の参加者・参加企業などは、トランプ氏を大統領選の共和党候補にしてはならないとの声明を出している。これらに共通していることは、政治的、経済的権力者、つまり1%のグローバリストの意見やアジェンダを代表していることである。トランプ氏を支持しない理由は、トランプ氏が1%を代表していないこと、そうして、それは国民が支持する理由でもある。
最新CNN/ORC世論調査
2 月24-27日に全米 1,001人と政党登録有権者920人を対象とした世論調査によると、共和党大統領候補のドナルド・トランプの支持率は49%とスーパーチューズデーを前に優位な立場にあり、共和党候補指名は確実ともいえる。トランプ氏に続き支持率に高い順はマルコ・ルビオ16%、テッド・クルーズ15%、ベン・カーソン10%、ジョン・ケーシック6%であった。
トランプ氏の高い支持率の背景には、国が抱えている政治、経済、社会問題を最も効果的に解決できる能力をもっている、最高指揮官としての責任を果たせる、一般市民が抱えている問題を理解できる、最も誠実なリーダーであるといったトランプ氏への大統領としての高い能力と「アメリカを再び偉大にする」ことへの期待がある。
トランプ支持層
トランプ氏の支持層は主に教育の低い、低所得層の白人と日本では報道されているが、実際の支持層はアメリカの政治の衰退と汚職、ウォール街・大企業と利益関係にある政治家、「大きすぎてつぶせない」銀行、資本主義ではなく「ファシスト国家」となったアメリカに危機感を持ち、「お金で買われない」「国民の声を聞く」指導者を求める国民である。
特定の年齢、人種、教養レベル、所得など関係なくトランプ氏を支持するアメリカ国民による、「一大運動」に発展している。それをよく表しているのが、ヒスパニック系有権者からの高い支持である。トランプ氏は厳しい移民への対応が必要と主張、ヒスパニック系不法移民に対して厳しい発言を繰り返してきたにもかかわらず、2015年9月に行われた世論調査では、ヒスパニック系有権者の支持率は45%であった。
これは、2 月23日行われたネヴァダ州党員集会でヒスパニック系有権者の45%の支持を獲得したことで、ヒスパニック系からの支持が高いことがわかる。トランプ氏への支持は広がりを見せており、支持率が50%を超える勢いである。アフリカアメリカ系有権者からの支持率も25%で高い。民主党候補のクリントン氏との対決となれば、民主党から30%弱いアフリカアメリカ系有権者がトランプ支持に回ると思われる。
ポリティカル・コレクトネスに反発
アメリカで性別、人種、民族、宗教、文化における差別や偏見を防ぐ為、政治的、社会的な視点から見て正しい用語を使うこと、考えを受け入れるポリティカル・コレクトネスに対して、多くの国民は嫌気を感じている。今では、motherや father(子供を持つ同性カップルへの差別用語)、brown bag(アフリカ系アメリカ人への差別用語)、Merry Christmas(キリスト教以外の宗教への差別用語)、God(無神論者の差別用語)などの言葉は「差別用語」となっている。カリフォルニア州のSonoma大学では、十字架のネクレスをするのは、無神論者への差別行為として、学生に外すことを命じた。ニューヨーク州のクオモ知事は、プロライフ(中絶合法化に反対)、銃規制や同性愛に反対する人はニューヨークに住むべきではないと発言。
民主党政権が進めてきたリベラル思想に保守的な国民が、発言や考え方が誰かに対し差別や偏見となるポリティカル・コレクトネスや政治の腐敗に対し不満を持ち、トランプ氏の過激な発言に多くのアメリカ人が共感する。思っているが口にできないことを述べるトランプ氏を支持する理由である。
民主党有権者からも支持
マサチューセッツ州では、民主党有権者2万人が党を離れ、共和党員又は無党派としてトランプ支持に回った。今では民主党支持者の支持も集め始めた。大統領選では、民主党支持者の寝返りが予想される。Mercury Analyticsの最新世論調査では、トランプ・クリントンの対決となれば、民主党支持者の20%が寝返り、トランプ支持に回ると答えている。