重力波発見なるか

11.02.2016

Photo: Science & Wonder

 

10年以上にわたり重力波を追い続けた研究者たちはようやく発見・確認という最終章にたどり着くようだ。アインシュタインが提案する重力波の存在は光に近い速度で衝突するブラックホールの衝突によって生成された時空の変調を観測したことで確認される日が近い。

 

世界中の研究者たちは重力波の存在を示す証拠を追い求めてきたが、今日に至るまで重力波を示す微弱な信号を検出できなかった。米国のLIGOAdvanced Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)で重力波を研究してきたグループはワシントン州とルイジアナ州の検出器と4kmの干渉計を使い重力波を捉える実験を行った。

 

今週の水曜日(2016210日)にLIGO研究グループはワシントンで記者会見を開く予定だが、そこで重力波の発見の正式発表があるとみられている。太陽の29倍と36倍の質量を持つブラックホールが互いの重力で引き合い衝突して太陽の62倍の質量を持つブラックホールが生まれる。この際に失われる太陽の3倍の質量がエネルギーに転換されるが、そこで発生する重力波を観測しようとする計画である。

 

 

Photo: physics.uci

 

その重力波の信号強度はこれまでより強いため明確に存在が確認できる。成功すればアインシュタインが一般相対論で1915年に提案した重力波が実証されることになる。一般相対論は宇宙の起源に関する理解に大きな影響を与えた。重力波の存在により質量が時空を歪めることになるからだ。このため遠く離れた恒星の光は太陽近くで曲げられることが1919年にわかった。

 

重力波の発見は(ブラックホールの存在を否定し続けたアインシュタインの)一般性相対論の重力理論を実証することになる。このことは一般相対論の正しさを検証することにもなる。さらにLIGO信号が強ければさらに感度の高い施設を建設すれば、宇宙の彼方で起こる巨大な質量を持つブラックホール同士の衝突や他の巨大エネルギーイベントの観測が可能になる。

 

これによって重力波望遠鏡のように宇宙を観測できる新しい手法を持つことになる。しかしLIGO研究チームの重力波発見の期待は膨らみ噂が飛び交うもののこれまで公式発表はなかった。2014年にBicep2実験でビッグバ起源の重力波を見出したとしたが、のちに宇宙チリが実験に干渉したことがわかった。LIGO研究チームが慎重になり公式発表まで時間がかかっているのは再確認のためと思われる。