Scaniaはダイムラー、ボルヴォに続く世界のトラック生産の3台メーカーのひとつで、独自性が高い個性的な会社である。会社の創設は1900年でスエーデンのマルモ(注1)でトラックの製造から始った。Scaniaはスエーデン発の国産バスを手がけるなど大型車両を得意とする。
(注1)マルモはスエーデンでも南端にありオースレンリンクでコペンハーゲンと結ばれている。2000年に完成した全長16kmのオースレンリンクによりスエーデンと欧州は鉄道と車で結ばれた。
Scaniaという会社
大戦中は軍用トラックや戦車を生産を受け持っていたScaniaは戦後、トラック(トレーラーヘッド)とバスの生産に専念し、欧州を中心とする全世界に販売を伸ばして行った。ロンドンを走る2階建てバスはScaniaが納入したものである。その後Scaniaはバス部門を分離してブラジルを生産拠点としトラックに専念して現在の地位を築いた。
Scaniaはフォルクスワーゲン(VW)が筆頭株主(注2)となってからも独自路線をとり続けVWの経営戦略外という孤高の存在である。欧州のトラックドライバーに信頼が大きく、ドライバーの負担を軽減する設備が好まれる理由となっている。
(注2)VWはScaniaの価値を高く評価し、子会社するとともに2014年にTOBで98.19%の株式を手にした。
アクテイブナビから自動操縦へ
「Scaniaアクティブ・プレディクション」と呼ばれるナビゲーションシステムにより走行ルートの地形データ、デジタル地図、GPS信号を利用して、走行ルートの3次元プロファイルを作成し、道路に合わせて車速を調整することですでに3%の燃料向上を実現しているが、Scaniaはトラックの自動運転技術でより大幅な燃費向上を目指している。
コンボイを等間隔で走行させることにより2台目以降のトラックにスリップストリーム(注3)で燃費向上をさせるというものである。これによって燃費は10%の節約が可能になるという。トラック輸送は世界中の物流を支えているが欧州内は48時間以内で物流が要求される。デイーゼルトラック輸送に依存度の大きい欧州ではScaniaの自動操縦システムの恩恵は大きい。
(注3)スリップストリーム
高速で移動する車の真後ろ近辺では前方で空気を押しのけた効果で気圧が下がっており、そこでは空気の渦が発生し周りの空気や後続車などを吸引する効果を生むほか、空気抵抗も通常より低下した状態となっているため、この領域に入って後続すれば燃費が良くなる。自転車レースや自動車レースではよく使われる。コンボイに応用すれば隊列を組むトラックの燃費が良くなる。車の少ない北欧では自動運転のメリットが大きく、長距離自動運転技術の効果は大きい。