活発化する火山の脅威

Apr. 19, 2015

 


 最近、相次ぐ火山の噴火が多い印象だが統計をみると世界中で活発になった火山活動が明らかになる。地球内部の何らかの変調を意味するのだろうか。


 現在報告されている火山噴火の下図は20世紀の年間平均より明らかに大きい数字である。20世紀には全部で3,542件の火山噴火が報告されている。これは年間に平均して35件となる。Volcano Discoveryによれば、今現在報告された火山の噴火は36で、すでに20世紀の年間平均を超えているという。


 2013年の火山噴火は歴史上最多となったが、この時点で2015年は最多記録を塗り替えそうな勢いなのである。長いあいだ休止していた火山も活動が激しくなっている。上の写真は1995年に噴火したSoufri?re Hills(カリブ海)。



 火山噴火のスケールVEI7(注1)もしくはVEI8の大噴火はとてつもないエネルギーを放出して周辺地域に災害をもたらすとの警告が出されている。ちなみに1815年のインドネシアの火山噴火がVEI7である。


(注1)VEI(Volcanic Explosive Index)火山からの噴出物(テフラ)の量で分類される。VEI8は最大規模の場格発でテフラの量が10の12乗立法m、VEI7はその1/10の規模となる。


(注2)インドネシア中央部のタンボラ山(2,851m)が1815年4月に大噴火をした。3日間続いた噴火で、1,000kmに渡る地域に火山灰が降り注いで死者は1万人に達した。この噴火で気温が10 年間に渡り地球の気温を0.5C下げたとされる。



 現在心配される火山活動は以下の地域でいずれも注意が必要である。


アイスランド

 Hekla火山から6-10kmの周辺地域に小規模地震が頻発している。4月9日には4kmの地下でM2.6の地震が観測されている。Hekla火山の今後の噴火に十分注意する必要がある。

 

蔵王

 蔵王周辺では火山性の地震が12件観測された。1.2km以内の周辺地域には火山の噴火警報がだされている。

 

Mt. Paerku

 北朝鮮と中国国境のMt. Paerkuは1,000年も前に休火山となっていた突然マグマが上昇し数トンにものぼる吹き上げられた岩が周囲に落下した。研究者によればこの火山が噴火すれば、核爆発100万回分のエネルギーを放出する潜在能力があるという。

 

 衛星によって地球磁場の変化が加速されていることが明らかになった。マグマより深部の(地球磁場に影響する溶融鉄の対流)に変化もみられる。マグマ活動の活発化やこれらの地球内部の変調に警戒が必要だ。御岳山の噴火でそのことが認識されたし、小笠原諸島の西ノ島は記憶に新しい。世界的にみればハワイのキラウエア火山の溶岩流の被害、インドネシアの火山やメキシコなど多くの火山活動が活発化している。