スマートグリッドの表と裏

Oct. 18, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










 ITネットワーク技術を用い、電力の需要と供給のバランスを取る名目でオバマが打ち出したスマートグリッド。2008年の大統領選挙時にオバマが再生可能エネルギーの普及で温室効果ガスを削減と産業育成で景気を回復させるアドバルーンであった。

 

 グリッドという概念はもともと計算機ネットワークの分野で古くからあった。オバマはシェールガス革命やオバマケアなど新政策を立て続けに打ち出したが、看板倒れが目立つようになっている。スマートグリッドとはどのようなものなのか。表と裏の顔があるようだ。



 米国では2000年のカリフォルニア電力危機や2003年8月の北部・中西部の大停電など、送電網の脆弱さが露呈した。

 現在では、火力・原子力発電に再生可能エネルギーを併用しつつ、後者に比重を移す、というのが現実路線とされる。しかし今後の電力需要は大幅に伸びることが予想されるため、供給不足を招かないよう需要と供給をモニタリングし、適切な供給量を確実に確保する必要がある、という筋書きである。


 

 日本の電力システムの年間の事故・停電時間は1軒あたり19分で、米国では97分で優れているが、スマートグリッドは発電量と負荷をダイナミックに統合あるいは分散しシステムの効率と安全性を高める点が特徴でつまり蓄えの効かない電力の無駄をなくそう、というものである。

 新潟県中越地震で浜岡原子力発電所や柏崎刈羽発電所が長期にわたり停止した際に、需要が最大になる夏季に他の発電所の稼働率を上げて対処した。最近では福島原発事故の影響で夏場に節電を強いられた。スマートグリッドは発電能力と負荷に対応して最適な電力供給網を形成できるので電力災害時の負荷分散に効果的である。



 米国のスマートグリッド構想は電力会社・関連会社、IT関連会社、エネルギー関連企業が加わっている。このオバマに近いIT企業、というところに裏の顔がある。スマートグリッドでは各家庭にモニタ/制御装置を自己負担で取り付ける。このモニタというのはPCで各部屋の電力使用状況すなわち生活状態の情報を地域のセンターに送る。しかしその情報はビッグデータとして政府が監視することにも使えるのだ。

 

 NSAの盗聴疑惑に代表されるように政府情報機関の違法な情報収集活動が懸念され、個人情報の流出は日本のように個人レベルの問題ではなく、国家が国民を監視する警察国家に使われると考える人たちがでてきた。彼らの合い言葉は「オフグリッド」(下の写真)で電力ネット接続を拒否して、再生利用エネルギーの自給自足で自由を得ようとする。

 

スマートグリッドとオフグリッド。貴方ならどちらを選ぶだろうか。