カタロニア独立で加速する国家の再編成

29.10.2015

Photo: International BusinessTimes


独立への動き

新たな国として独立を住民が希望して住民投票にかける動きが加速している。これまでスコットランドの住民投票は独立派が敗北し、英国(連合王国)の一部として残留することになった。しかしカタロニア, バスク自治州やヴェネツィアはどうなるのか、注目されていた。独立問題で揺れ動くウクライナも国家の再編成のひとつである。その一方、スペイン(ジブラルタル)、ブラジル(フォークランド諸国)のように旧領地の返還を求める国もあり、混沌としている。


カタロニアはスペイン北東部にありスペインの自治州で州都はバルセロナ。独自の言語(カタロニア語)を持つなど歴史的に住民たちの独立性が強い。人口は750万人だがGDPはポルトガルを上回る。もともと自治の意識が高かったが2008年の金融危機で州財政が悪化すると、住民たちに独立を求める動きが活発化した。



独立国家への手続きが始まる

2014年の独立を求めるデモには180万人が参加し盛り上がりをみせたが、カタロニア政府は消極的であった。2015年9月の州議会選挙で独立派が過半数を獲得した。独立派議員は分離独立に向けた手続きを開始、州議会に独立宣言文書を提出して11月9日までに成立するとみられている。その後憲法制定が予定されていて、いよいよ独立国家が登場する。


しかしこれで問題が解決されたわけではない。スペインからみれば勝手に自治州が独立を叫んでいるだけだ。州政府を監督するスペイン政府は自治州の独立を認めていないからである。独立を無効として徹底抗戦のかまえである。



独立への道のりを歩き続けるカタロニアの支え

カタロニアというと帆船模型家の間ではプレミアアイテムとして知られる。カタロニア船は15世紀にかけアタロニアが栄える基盤の地中海貿易を支え、大航海時代の先駆けに使われた代表的な商船。コロンブスが新大陸だと思ってみつけた北米大陸への航海で使われたのはサンタマリア号。カタロニアに息づく独立精神はコロンブス譲りなのかもしれない。そうとなればスペイン政府も覚悟が必要である。


将来の金融危機に際してベイルインをEUから突きつけられた国の中には、独立(EU脱退)を目指す国(住民)がでてきても不思議ではない。



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