スウェーデンは移民政策で経済破綻の危機

21.10.2015

Photo: Heresy


 スウェーデンは1975年以降、移民政策によって、多文化の移民を欧州で最も積極的に受け入れてきた。移民を受け入らない国は「ネオファシスト」と隣国のノルウェー、オランダ、デンマークやEU諸国を批判、欧州では多文化共生社会としての国民の意識は高かった。

 

 だが、今では、行きすぎた多文化共生の移民政策により、自国の文化・伝統の崩壊、犯罪の増加による治安の悪化、移民保護制度の負担による財政破綻の危機を迎えている。かつての、世界で最も安全で、男女均等の豊かな社会福祉国家はもはや国家機能を喪失した破綻国家になりつつある。

 


急増する移民対策の財政負担

 現在の移民保証制度を維持することは、国や市町村レベルで不可能となった。移民の受け入が増加するなか、スウェーデン政府はヨーロッパ投資銀行 (European Investment Bank: EIB) から移民対応のための融資を受けている。移民保証が負担となり、住民に通常の公共サービスが提供できないと多くの市町村は訴え、財政破綻の危機にある市町村が増加している。


 週に少なくとも3,000人から8,000人の移民が移住してくるため、対応策として市町村所得税(国レベルの所得税とは別)の32%に対して、2%増税を実施する税制案が検討中である。平均的な家庭にとって、約15,000 クローナ(¥219,000)の増税となる。国民が移民のために、増税を容認するかが今後問題となる。人口の15%を占める移民が国の60%の社会保証を受けていることに対して、スウェーデン納税者は納得するかは大きな疑問である。



 

限界を超えたスウェーデンの移民受け入れ

 地理的に見てスウェーデンは日本全土より大きいが、人口は日本の1/12で約1,000万人弱である。2010年までは、年間約25,000人の移民を受け入れていた。2014年には、33,500人の移民に対して、110,000人が住民としての資格を取得した。人数が増えた理由は、33,500人が各々の家族や親戚を呼び寄せた結果である。

 

 2015年に受け入れる移民は180,000人と予測されており、そこに家族や親戚を加えると少なくとも270,000人の移民が移住してくるとみている。移民の多くはシリア以外の国(アフガニスタン、トルコ、パキスタン、ソマリア、イラク、リビヤ)からの経済難民である。

 

 このままのペースで移民を受け入れたら、10-15年後にはスウェーデン人は自国で過半数を下回り、イスラム教徒が過半数以上を占める国になると言われている。


 スウェーデンは移民に移住する権利を与えているが、移民の90%以上は、スウェーデンの保証制度を利用したい目的で来ているのが実情である。住宅、教育、医療と受ける生活保証は万全である。しかし、イスラム教移民が移住先の文化や習慣に敬意を持たず社会に溶け込むことはほとんどない。

 

 

福祉国家の崩壊

 スウェーデンでは、イスラム教移民の多い地区はスラム化、そこでの暴動は頻繁に起きている。1975から犯罪300%増、うち性的暴行事件は1,472%増で、レイプ件数は世界で2番目に多く社会問題となっている。米国より15%も警察官の数が多いにもかかわらず、米国より夜道を歩くのは危険とされている。

 

 欧州で多文化国家のモデルとも言われたスウェーデンが、移民政策で経済破綻の危機をどのように解決するのか注目される。ドイツやハンガリーを初め陸で繋がった欧州各国にスウェーデン同様の危機が訪れるのは時間の問題である。スウェーデンの危機的状況は欧州崩壊につながりかねない。