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アイスランドの最高裁判所とレイキャヴヴィーク地方裁判所は、5人の銀行幹部と1人の有力な投資家を市場操作、銀行資金の着服、インサイダー取引、不正ローンの貸付、信任義務の拒否で実刑判決を下した。人口がわずか31万人の国アイスランドは、2008年に金融危機により国家破綻した。金融破綻を引き起こした数多くの犯罪行為に関して合計26人の金融関係者が有罪判決を受けたことになる。
漁業以外はほとんど産業がなかったこの国は、1990年代には構造改革の一環として、金融市場の自由化を積極的に進めた。金融機関の民営化、外国との資本移動規制の撤廃、通貨クローナの変動相場制の導入などを実施し、それまで国内業務が主であった銀行は国際的に有力な金融機関に変貌した。2006年には、大手3大銀行である、カウプシング、グリトニル、ランズパンキの総資産はアイスランドの GDPの8倍である1,500億ドルまで膨れ上がっていた。
アイスランドの金融危機
2008年のリーマン・ブラザーズ破綻が引き起こした金融機関は、破綻危機から「大きすぎて潰せない」銀行を公的資金で救済した。多くの企業、個人が経済的破綻に追い込まれたに対し、行き過ぎた利益を追求してきた銀行は救済、銀行幹部の責任は問われず、金融機関関係者の1人も起訴されることはなかった。
だが、アイスランドは銀行を破綻させ、その後国営化した。3大銀行の幹部を起訴、有罪とし、実刑判決で責任を追求した。金融犯罪で最大実刑の6年、そうして5年の実刑を受けたのは、カウプシング銀行のCEOと会長である。その他に、グリトニル銀国とランズパンキ銀行のCEOと経営幹部、株主、投資家、不正なローン取引を行った貯蓄貸付組合の幹部などが実刑を受けた。
銀行処理のモデルケースに
アイスランドのオラフル・ラグナル・グリムソン大統領は銀行に関して次のように述べている。
「近代経済において、なぜ銀行は聖教のような存在なのか?なぜ民間銀行は、航空会社や通信会社のように経営危機の際、倒産しないのか?
銀行を必ず救済しなければならないとする説は、銀行員に利益、成功を与え、彼らの失敗は一般国民には納税と財政緊縮政策による苦痛の形で負うことになる。民主主義国家の国民は今後、このようなことを許さないだろう。」
次の金融機関の破綻危機の際、公的資金ではなく、「ベイルイン」制度の導入により、株主や一般債権者(預金者)が負担することになる。アイスランドがモデルケースとなり、「大きすぎて潰せない」銀行を適切に処理できるかが、問われる。