再生可能エネルギーの意外な盲点

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ドイツの再生可能エネルギーがエネルギーミックスで23%を占めるようになった。日本が原発停止の穴埋めを含めて火力に頼っている数値とほぼ等しい。ドイツの再生利用エネルギーは311以前から進行していたが、原発停止分を置き換えてここまで達したのは福島の事故後の政治判断であった。


再生可能エネルギーが8割近い電力源となると様々な電力と経済リスクを背負い込むことになる。まず再々可能エネルギーを太陽光と風力に頼ると時間的な持続性が失われる。太陽光では夜間発電ができない。

 

風力は天候依存と暴風で破損したりタワーが倒れれば周囲の民家への安全性、さらに低周波の健康被害など。太陽光では大規模な蓄電設備と一体でなければ、電力の供給を安定化できない。これが日本の電力会社のベース電源としての原子力の特徴でもあった。


しかしドイツは工業力にものをいわせて再生可能エネルギーを計画的に導入し、1990年代に25,000代の風力タービンを設置した。しかしタービンは可動部分が多く2016年に7,000代が15年の運用を超え一斉に老朽化する。建設時期が一定期間に集中したことで、同時に老朽化する問題に直面したのである。下の写真のように一枚づつ地上で作業が可能な太陽光パネルと異なり、タービンの保守、交換は容易ではない。



Photo: Planet Ark

 

風力タービンの所有者の半分以上は個人であることも、系統的な更新が難しい理由のひとつである。原子力が電力コストに廃炉や燃料サイクルを考慮していないのと同じように、設備の初期投資が大きい再生可能エネルギーに保守、部品交換、更新などを含ませればコストが上がり、競争力が低下する。また風力発電に対する補助金は20年で打ち切られる。新型タービンは効率が倍増し耐久性や騒音も改良されているが、更新は簡単ではない。

 


150トンクレーン作業が必要となる風力タービンの撤去には、タービンとタワーを地上に降ろして分解搬送しなければならない。海上タワーの作業はさらに困難で海底に設置したタワーの足場の撤去は海中の作業である。風力タービンの撤去はドイツに限ったことではない。米国の稼働中の風力タービンは48,000基でドイツの約2倍。5年間で30%が老朽化を迎えが、1基あたり5.5万ドルの撤去費用のコストは全体で1億ドルに達する。

 

風力タービンだけで225,000トンのタービン羽の再利用の市場が予測されている。一方でアジア、東欧、南米でタービン再利用の市場が活発化している。また新型タービンの研究開発が進みつつある。再生可能エネルギーに持続性を持たせるためには技術開発による低コスト化が有効だとすれば、日本やドイツにとっては「新しい市場」なのだ。