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中国はボーインング社とのトップ商談でボーイング737を含む300機の発注をしたばかりだが、インドネシア高速鉄道の受注にも成功した。中国の原子炉販売も資金融資とセットで好調のようである。2013年12月には中国原子力公団(CNNC)が建設費を融資する条件で、パキスタン政府と1,100MW原子炉2基を65億ドルの契約を結んだ。
パキスタンのカラチは地震の多いことで有名であると同時に、パキスタン海軍の艦船を乗っ取ったアルカイダ拠点からも遠くない。ここに中国が2基の原子炉を建設することで住民は不安に慄いている。
中国が建設する原子炉はACP-1000(注1)。設置場所は旧型原子炉に隣接しているが200万人が住むカラチから20マイルしか離れていない。
(注1)中国が独自技術で開発した第三世代の加圧水型原子炉。安全性に留意した設計で電源喪失時においても冷却機構が働くとしている。中国の原子炉一号機はフランスのアレヴァ社製。その後ロシアやアメリカ製の原子炉を輸入しては、改良型を建設してきた。先に開発したCPR1000や安全性の高いウエスチングハウス社のAP1000に準じるCAP1400を最新型のACP-1000に統一する方針。
パキスタンはユーラシアプレートに対してインドプレートとアラビアプレートが沈み込んでいる複雑な構造の上に位置するため地震の発生が多い。2013年9月24日にMW7.7の地震が起こり515人以上の死者を出した。
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一方のテロは2014年に1,206件発生し1,723人が死亡している。最近では2015年に東部のパンジャブ州で自爆テロがあり18人の犠牲者を出した。
このようなリスクに加えて中国製の原子炉の安全性に疑問も加わって、カラチ住民は原子炉が将来、放射能汚染をもたらす不安に駆られている。もちろん中国側は福島原発の状況を考慮して全電源喪失でも冷却が行えるため安全性に問題はないとしている。
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