バブル終焉を意味する「摩天楼指数」

Sep. 7, 2015

Photo: BUSINESS INSIDER


摩天楼、特に世界一を目指した超高層ビルの建設は「摩天楼指数」、”Skyscraper Index”、によればバブル経済の終焉を意味しているという。超高層ビルの高さが高いほど経済不況の深刻さをあらわしているそうだ。


歴史的にはニューヨーク摩天楼の代表格として建設された、ウオールスリート40、クライスラービル、エンパイヤーステートビルは大恐慌に対応する。現在世界一の高さを誇るドバイのブルジュハリファ(828.8m)はドバイバブルの終焉とお現在の世界経済の低迷と同期している。


「摩天楼指数」によれば現在、建設中の124箇所の摩天楼のうち65箇所は中国にあり、インドは世界第2位となるインドタワーをはじめ14箇所の建設を5年以内に予定しているという。



Image: Hazard Lab

 

この経験則の理由は行き過ぎた不動産投資の結果が摩天楼建設に反映されるためだという。2008年に着工した「上海中心(Shanghai Tower)」は高さ632m、上海ではジンマオタワー(420.5m)、「上海環球金融中心(474m)」(森ビル)をしのいで、中国一位となる。筆者はたびたび上海を訪れ、建設中のビルを観察してきたが、2013年までのピッチに比べると2014年の頂上付近の工事はやや減速した感がある。

 

それでも工事中にビル建設現場に侵入して頂上に登り足場の悪いアームの先端から眺望を動画にアップしたロシアの若者の映像に他を圧倒する高さがわかるだろう。ちなみに「上海環球金融中心」の展望台は世界一高層階にあるためか連日長蛇の列のため、ジンマオタワー展望台から摩天楼を眺めることを推奨したい。ジンマオタワーの展望台へは並ばなくてもいけるしホテルなので高層ホテルが好きならば宿泊もできるからである。

 

さて摩天楼の世界一競争は果てしなく続き、ブルジュハリファを大幅に超えるオーバー1,000mタワーが中東に3箇所建設される。そのひとつがサウジアラビアのKingdom Towerであるが、「摩天楼指数」によればそれは経済悪化の前兆ということになる。

 


Graph: mirsoglasnomne.livejournal.com

 

ドバイバブルの崩壊に続いて最近の原油価格の値下がりで大打撃を受けた湾岸諸国の将来は果たして黄信号がともった。世界一位を目指す競争はかつてニューヨークとシカゴが激しい競争を繰り広げたが、中東とアジアの競争の先頭集団から抜け落ちた。

 

“Freedom Tower”となるはずが、”One World Trade Center”となったWTCの跡地に2014年に完成した新WTCビルは541mでしかない。しかしそれでも新しく摩天楼に加わった新WTCビル群はニュヨークの株式市場のバロメーターとしたら、これから大変なことになる。

 

ブルジュハリファがドバイバブルの終焉に、また上海中心が上海株式暴落に対応しているとしたら、WTCビル群の完成はニューヨーク株式市場の暴落を予兆しているといえるのだ。

 

 

摩天楼指数が、「不動産バブルの頂点と超高層ビルの相関」だとしたら普遍的な法則かもしれない。