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2013年ノーベル経済学賞の受賞者である、イエール大学のロバート・シラー教授は米国株価が投機的バブル状態にあると警告を発した。警告の根拠となるのが、シラー教授が考案した株価の割高感を示す投資指標のCAPE指数(シラーPER)が高いことにある。
CAPE指数
CAPE指数(Cyclically Adjusted Price Earnings Ratio)またはシラーPERとも呼ばれている指標は、株価が過去10年間の平均1株あたり純利益(EPS)の何倍かを示す指数で、倍数が高いほど株価が高く評価されていることを意味する。
一般的に使われている株価収益率(PER)は、株価を単年度の1株あたり純利益で割って算出する。だが、純利益の変動性は高いため、PERで株価の割安・割高を判断するには難しい場合もある。
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CAPE指数は過去10年間の平均収益を物価変動で調整した、景気変動調整後の株価収益率である。景気循環の影響を排除し、収益力と株価を比較する指標である。長期的な株価の割安・割高を判断するには有効な指標である。
歴史的にみて、1881年から2015年の米国平均CAPE指数は17倍である。7月には、 CAPE指数は27倍に達し、分岐点の25倍を超えた。 CAPE指数が25倍前後まで上昇すると株価は下落に転じるとされる。これまで27倍以上を記録したのは株価が最高値に達し、その後株式暴落があった1929年、2000年と2007年である。
シラー教授によると、8月17~18日の間に株価が10%下げたことで、CAPE指数は25倍に低下したが、これは株価が投機的バブル状態に達し、下落を始めたことのシグナルと指摘している。今後、株価の不安定な状況は続くが、CAPE指数は平均値の17倍に向かっている可能性があると考えている。17倍の水準まで戻るには、株価が30%下げ、NYダウ平均株価は16,000から11,000, S&P500は1,900から1,300までのレベルに下がることを警告している。