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世界中のWiFiルーターの数はおよそ140万カ所。毎日の生活がインターネットに依存し、インターネットはスマートフォンでアクセスされ、それにはWiFiが必要になる。街中にWiFi電波が飛び交い、FreeWiFiを求めて若者はさまよい歩く。
WiFiによる恩恵は計り知れないものがある、ことは疑う余地はない。しかし一方で「電磁波過敏症」を訴える人々も世界中に増えている。携帯基地局の設置は「電磁波過敏症」の住民を筆頭に反対運動も起きている。
確かにWiFi電波の周波数は電子レンジと同じマイクロ波(下の図参照)で、体内の水分子の熱運動を活発にし、原理的にはエネルギーを吸収した人体は体温が上がる。一方、脳に与える影響は体温上昇だけでなく、腫瘍をつくりだし癌細胞の発生につながるという警告もある。
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しかしこれまで公的機関による「電磁波過敏症」の認知はなされなかった。キャリアの営業やインフラ整備の障害となるからである。被害を訴える人が少数である場合、製薬会社は被害者の訴えを無視する薬の副作用の訴訟と同じだ。
このほどWHOが「電磁波過敏症」(EMS)と「化学物質過敏症」(MCS)が「現代病」であることを認め、科学的根拠をまとめた資料を公開した。WHOの指針は、数の論理に基づく「企業優先の社会」に対する反省と警鐘でもある。
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WHOが現代病と認定したのは症状を訴える人々の数が上の資料のように無視できない数となったため。資料によればEMSもMCSも因果関係がはっきりしており巨大企業が人体に与える悪影響を会社の利益のために犠牲にした、ことを認めている。
環境にやさしい未来都市では不要な電磁波の強度も基準をつくるべきなのかもしれない。「電磁波迷惑条例」などをつくって罰金を課し集められた資金で治療費補助にあてるなどやり方は色々あるだろう。いずれにしても電波法を超えた規制が必要な時代になった。規制はまた省エネの立場からも必要な時期に来ている。
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上の写真は15分間の携帯使用で上昇した体温イメージング。これは電磁波による水分子の運動による。問題は局所的な体温上昇のみでなく下の写真のように前頭葉の代謝機能にも影響を与え頭痛や吐き気などの症状を引き起こすことである。
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上の写真は脳細胞の維持に必要なグルコースの分布の携帯使用時の変化をしめすイメージング。携帯の脳への影響はデータが蓄積されつつある。
化学物質過敏症
規制がないに等しい中国では工場からの汚染水による環境破壊に加えて、製品自体に危険な化学物質が大量に使用されている。中国の公園の草木から色付けした緑のインクが流れ出す。湖の色さえ不自然な青色である。きけば枕カバーやシーツは使用前に洗濯するのが常識という。
また花粉症やアレルギーの患者が年々増えている背景には地球環境と身のまわりに有害な化学物質と接する機会が増えたことと関係があるかもしれない。化学物質過敏症については原因物質をリストアップして企業に代替え物質に切り替える強制措置も必要だが、難しいのは電磁波過敏症である。
携帯基地局、WiFiルーターの増大に歯止めをかけることは事実上困難であるので、受信端末の感度を上げることや電磁波障害のないLiFiに切り替えるなどの措置が必要となるだろう。
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