世界的な干ばつに襲われる農業

Aug. 19, 2015

Photo: New Yorker


この夏の熱波は世界的な干ばつの被害に追い打ちをかけた。地球温暖化を理由にすることは容易だが、異常気象の本当の原因を特定するのは簡単ではない。気温上昇にしても過去100年で平均0.8度の地球表面の温度上昇は対禹王活動の減少による低温化と温室効果の競争関係の結果であり、地球気候の行く末を予測するにはデータが少なすぎる。


ともあれ事実として全米の半分が50年以来の干ばつに襲われているし、熱波と降雨量の減少で穀倉地帯の農業が深刻な打撃を受けている。そのため少なくとも干ばつの地域では温暖化と感想は現実的に深刻化していると考えざるを得ない。気象学者たちは温暖化と乾燥化が将来はさらに深刻化するとみている。


Photo: Washington Post

 

歴史的には米国最大の干ばつは1934年7月に79.9%の地域に及んだが、2015年6月の干ばつ(54.6%)はその規模に匹敵するものではなく、その時ほど長期に渡るものでもない。しかし5,000人の死者を出した1936年の熱波の影響より広範囲に及んでいる。

 

もちろん農業技術の進歩によって干ばつの被害は昔より少なくなっているが広範囲の干ばつ(上の図)はコーンや大豆の穀倉地帯を直撃している。実に12%の減産となる見通しで輸出に大打撃を与えることは必至である。米国に限らずポーランドの川の水位が異常に減って、水底から350年前の遺跡が顔をのぞかせたことが報じられている。中緯度地帯に一般的に干ばつがみられるということだ。

 

 

Photo: The Telegraph

 

現在より温暖化が進んでいなかった1930年代から1950年代にかけて米国は7回の干ばつが記録していることから考えると、先に述べたように地球温暖化で熱波と干ばつを説明することは難しいと思われる。

 

年輪に刻まれた北米大陸の干ばつの周期はラニーニョ現象(注1)に関係するらしい。地球温暖化によって周期的な干ばつが自然周期より頻繁に起こる可能性が指摘されている。地球温暖化により今世紀末に平均気温の上昇は6度Cとなる予測もでている。そうなれば20-50年後の地球の干ばつは中緯度に広がる世界的なものとなり、農業の壊滅的な打撃により飢饉が起こることは必至であるし、世界経済への影響も大きい。

 

Vertical Farmなど気候に依存しない近代農業を展開することが求められるだろう。そこでは米国流の大規模農業はではなく、LED照明とクリーンな環境で食物を生育させる新しい農業が主役となるかもしれない。

 

(注1)エルニーニョ現象とついをなす気象変動。エルニーニョ現象と逆に東太平洋の赤道付近で海水温が低下する現象で、エルニーニョ現象と(正反対の)異常気象をもたらす。根本的な原因は未だに詳しく解明されていないが、赤道海流の変化や反転に関係すると考えられている。