T I M E L I N E

Geopolitics/Economy                          Science/Technology

欧州中央銀行が初めて提示したEU離脱の条件

欧州主要国間で反ユーロ、EU離脱の動きが拡大しているなか、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は、初めてEU崩壊の可能性を認めた見解の転回を見せた。加盟国のEUからの離脱は可能としたが、それにはECBとの負債の完全な清算を条件とした。

Jan. 27, 2017 

カリフォルニア州独立の機運と現実度にギャップ

オバマ政権発足後に始まったのが、テキサス州のアメリカ合衆国離脱運動であった。今回、トランプ政権発足で勢いを見せているのが、カルフォルニア州の離脱(Calexit)である。最新の世論調査では、実に3人に1人が離脱を支持している。だが高まる機運にもかかわらず法的手続きには高い障壁がある。

Jan. 25, 2017

ロシアの米国大統領選への関与疑惑の真相 Part 3 

オバマ前大統領の任期最後の記者会見(19日)で、ロシアの米国大統領選挙への関与疑惑の論争にあるDNC(民主党全国委員会)のメールハッキングに関して、ロシアが関与した決定的証拠はなく、情報源が内部リークであったことを認めた。

Jan. 23, 2017

反トランプデモの暴徒化で200人以上が逮捕

1月20日の首都ワシントンに70-90万人の新大統領を支持者が集結して就任式当日を迎えたが、反トランプ派も過激なデモが暴徒化しホワイトハウス周辺の数ブロックが騒然となった。

Jan. 21, 2017

激しさを増す反トランプ派の正体

トランプ大統領就任式を20日に控え、トランプ次期大統領への主要メディアによるネガティブ報道や就任式を妨害することを目的に「反トランプ」抗議集会やデモが予定されている。

Jan. 20, 2017

完全には奪還されていないモスルの現実

昨年末からイラク政府軍(Iraqi Security Forces, ISF)が包囲し攻勢を強めていたISの最大拠点モスルは、1月18日にほぼ奪還され市民はISから解放されたとの報道を軍司令部は否定した。北部のチグリス川岸で抵抗を続けていたISとの激しい戦闘も一段落し、イラク軍司令官がモスル奪還を宣言したが、実際には完全に制圧されたわけではない。

Jan. 19, 2017

経済格差の深刻化はグローバル・エリートへの警告

ダボス会議(世界経済フォーラム)の開催を前に、国際NGOのオックスファム(Oxfam)は16日に、世界の経済格差に関する報告書を発表した。2015年には、世界の人口の経済的貧困の下位半分、約36億人の総資産の合計額が上位62人と同額であったのが、2016年には、世界における経済格差が拡大、世界で最も富豪8人が同額の資産を持っていることに警告を発した。

Jan. 17, 2017

パリ中東和平会議で焦点となるパレスチナ問題

フランスが主催するパリ中東和平会議には、世界72ヵ国と国際機関(EU, 国連、アラブ連盟)の代表が参加している。この会議はイスラエルとパレスチナ自治区との平和交渉に向けた政治的環境を整えることを目的としている。2016年12月23日に国連で採択された「イスラエルとパレスチナが平和かつ安全に共存する2国共存案の重要性を改めて示す」とした国連安保理決議2334号を重視し、より幅広く国際社会においてパレスチナ国家承認への動きが活発化している。

Jan. 15, 2017

米軍のポーランド派兵で緊張が高まるロシア国境

政権移譲を数日後に控えたオバマ大統領は1月12日、NATO演習の一環として、ロシア国境に近いポーランド領地に派兵した。プーチン大統領はこれに鋭く反撥し、この派兵はロシア国境防衛を強化するものでロシアの利益と安全保証を損なう懸念を表明した。

Jan. 14, 2017

ダボス会議2017に異変

スイスの高級スキーリゾート地ダボスで、1月17~20日に世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開催される。ダボス会議の3,000名の参加者には、世界の大手多国籍企業1,000社から約1,800名のビジネスリーダーの他、世界の指導者、経済人、メディア関係者、セレブが出席する予定である。今年のダボス会議の注目は、 中国の習近平国家主席が中国の国家主席として初めて出席することである。

Jan. 11, 2017

ドイツ主導の政策で早まるEU崩壊

ドイツは、欧州連合(EU)参加国が財政赤字を対国内総生産(GDP)の3%以内まで削減するEUの財政枠組みに従うよう求めてきた。しかし、景気減速や国民の反対で、財政緊縮策の実施は難しく、EUのなかでの分裂は深刻化している。

Jan. 09, 2017

フィンランドで最低所得の実験的実施が始まる

フィンランドは1月1日から市民2000人を対象に、ヨーロッパ初の「ベーシックインカム」(統一最低所得)を試験的に始めた。参加者は成人1人につき月額560ユーロ(約6万9000円)が支給される。このプログラムは2年間続き、参加者は失業手当又は生活保護を受けている25~58歳の失業者から無作為に選ばれた。

Jan. 07, 2017

ジュリアン・アサンジ氏が否定するロシアの関与

ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジ氏は、ロンドンの駐英エクワドル大使館で、ロシアの米大統領選への関与に関してインタビューに応じた。アサンジ氏はオバマ政権とアメリカのメディアのロシアによるサイバー攻撃、ハッキングでトランプ氏が大統領に選ばれたという主張は、「明らかに、ドナルド・トランプ氏の大統領としての合法性を認めない企てである。」と述べた。

Jan. 04, 2017

ビットコイン価格急騰の背景

2017年年明け、ビットコインの価格は3年ぶりに1,000ドルを超え、コインデスクによると1日に1,021ドルをつけた。2016年は比較的緩やかな上昇傾向にあったビットコイン価格は、10―12月期には急騰している。その背景には、通貨安、地政学的不安、既存の貨幣への信用の低下、安全資産として広く認識されたことがあげられる。

Jan. 03, 2017

銃乱射テロで騒然とするイスタンブール

大晦日のケルンの集団暴行事件で幕が開けた2016年は、その後も欧州では多くのテロ事件が勃発し。ISとの戦争終結も見えてきた年末であったが、2017年早々トルコのイスタンブールで銃乱射テロにより多くの外国人を含む39名が犠牲となった。

Jan. 01, 2017

ロシアの米国大統領選への関与疑惑の真相 Part 2

トランプ氏は選挙人投票で大きな混乱はなく、正式に勝利が確定した。それでも主要メディアはロシアの米国大統領選への関与疑惑の報道を続けているが次第に疑惑を否定する事実が明らかになってきた。

Dec. 26, 2016

モンテ・パスキの国有化に踏み切るイタリア政府

モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)による50億ユーロの資本増強の自力再建計画は、欧州中央銀行(ECB)が設定した期限(12月22日)までに達成できず、失敗に終わった。ECBは資本増強期限の延期許可を与えなかったため、イタリア政府は22日に公的資金による銀行救済に踏み切った。

Dec. 23, 2016

ロシアの米国大統領選への関与疑惑の真相 Part 1

ロシアがハッキングとサイバー攻撃を仕掛けて、米大統領選でクリントン氏に大打撃を与えトランプ氏を当選させたと結論付けた米中央情報局(CIA)の報道が大きな波紋を呼んでいる。CIAの情報だけでなく、米主要メディアの報道に対して多くの疑問がある。

Dec. 19, 2016

モンテ・パスキ損失隠しで訴えられるドイツ銀行

イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(ポンテ・パスキ)銀行がドイツ銀行と野村ホールディングスと共謀して損失を隠し、財務虚偽報告に関与したとする裁判が2016年12月15日にミラノで始まった。欧州で破綻危機を迎えている2行が関わっている裁判である。

Dec. 17, 2016

禁断の書『我が闘争』が愛読される理由

イタリア教育省は、読書を推進目的で小学生・中学生を対象に読書調査を行った結果、ナチスドイツの独裁者、アドルフ・ヒトラーの著書『我が闘争』が、イタリアの8都市で人気ベスト10に選ばれたことが、大きな反響を呼んでいる。

Dec. 13, 2016

金・銀価格の不正操作に大手銀行が関与

ドイツ銀行は4月に、金・銀の価格操作への関与を巡る訴訟で、和解金の支払いの他、共犯銀行に関する情報を提供することで和解した。提供した情報のなかには、複数の世界の大手銀行が不正操作に関与していたとする「決定的証拠」が含まれており、「カルテル」による市場操作が行われてきたことが明らかとなった。

Dec.  10, 2016   

モンテ・パスキの国有化を巡るイタリアの混迷 

イタリアのレンツィ首相は7日に、2017年度予算の成立をもって辞任した。不透明な政治状況で、イタリア政府はモンテ・パスキの国有化の検討を始めた

Dec. 08, 2016  

イタリア国民投票で懸念される政治・社会・経済混乱

2016年12月4日のイタリア国民投票は、議会や選挙制度に関する憲法改正を問うものではあるが、結果は今後のイタリアの政治、イタリアがユーロ圏に残留・離脱に向かうか、多額な不良債券を抱えているイタリアの銀行の破綻危機が現実となるか、などイタリアの将来を大きく左右することになる。

Dec. 04, 2016

EUが独自の防衛基金設立で軍事力を強化

EUのNATO予算負担増を求めるトランプ次期大統領はEU議会に波紋を投げかけている。一方ではロシアやテロの脅威が増大し、NATOとは別に自衛のためのEU独自の軍隊(EU Army)を持つ意識が高まっている

Dec. 03, 2016

米国内テロ連鎖に共通要因

オハイオ州コロンバスにあるコロンバス州立大学での車と刃物によるテロ事件(11月28日)の容疑者は、イスラム過激派思想を持つソマリア出身の難民であった。2015年から増大している米国内のテロ事件には、容疑者がイスラム過激派思想を持ち、容疑者や容疑者の家族が中東やアフリカのイスラム教諸国からの難民であることなどの特徴が共通している。

Dec. 01, 2016

シリアの飛行禁止空域を指定する米国

米大統領選挙後の混乱が続いていた15日に、通常の立法手続きが適用されない異例の臨時議会が開かれた。そこで、下院5732号決議案、別名「シーザー・シリア市民保護条例」(Caesar Syria Civilian protection Act)が可決された。この法案の注目点は、米国がシリア内で飛行禁止空域を指定する権限を合法化したことである。

Nov. 29, 2016

ボーイング社の対イラン輸出契約を議会が差し止め

米国下院はこのほど軍事転用が可能な航空機の輸出契約を差し止める法案を可決した。これによりイランがボーイング社と結んだ250億ドル(日本円で約2.7兆円)の購入契約が差し止められることになる。

Nov. 27, 2016

欧州へ渡る移民の86%は経済的逃避

シリアを筆頭に中東の難民は戦争で生命を危険にさらされて欧州に避難したというのは間違いである。10,000人への聞き込み調査によれば、戦争から逃避してきた難民は全体のわずか13.7%にすぎない。

Nov. 25, 2016

追い詰められたイタリア大手銀行の不良債権処理

イタリアが2007年にEU加盟国となってから、GDPは10%縮小、EU圏ではギリシャに続き、政府債務残高対GDP比は最も高い135%と上昇を続けてきた。現在、イタリアは経済、債務、銀行危機に加えて、政治不安の拡大が同時進行している。

Nov. 22, 2016

米国税庁の標的となったビットコイン・ユーザー

コインベース(Coinbase)は米政府認可の米最大のビットコイン取引所である。そのコインベースに対して、司法省は国税庁の代理として、米国におけるコインベースの顧客情報の公表を巡り裁判所命令の申請を11月17日にカリフォニア州の北部地区裁判所に提出した。対象となるのが2013年12月31日から2015年12月31日の期間に、仮想通貨を使って取引を行った顧客情報である。

Nov. 25, 2016

プライバシーを失った英国民

英国で調査権限法、別名「詮索憲章」”snooper’s charter”が19日に議会で成立した。米国の愛国者法を強化した、ヨーロッパでは最も厳しい情報監視法となる。元国家安保障局(NSA)のエドワード・スノーデン氏は、監視体制は多くの独裁国を超える規模のものであると指摘している。

Nov. 20, 2016

米国債売却を加速するサウジアラビア

世界各国の中央銀行や政府系投資ファンドは、過去最高のペースで米国債を売却している。なかでも、サウジアラビアは中国やロシアを上回って、これまで過去最大の米国債を売却している。

Nov. 18, 2016

司法に委ねられるクリントン氏の起訴

トランプ時期大統領が、米司法長官にジェフ・セッションズ上院議員を指名したことで、8年間のオバマ政権の政策路線の転換を迎えることになる。セッションズ氏の指名で、トランプ氏がアメリカの有権者との選挙公約の実現に向けて、その意思を示した。

Nov. 19, 2016

高額紙幣の突然廃止でインド混乱

アメリカで大統領選挙が実施されている同じ日に、インドのモディ首相は現在流通している高額紙幣の廃止を発表してから、市民の生活、経済活動に深刻な影響が広がっている。午後8時すぎに、テレビ演説で偽造紙幣、資金洗浄、課税逃れ目的で隠匿された現金をなくすためと説明した4時間後には、法定通貨として効力がなくなると突然通告したからである。

Nov. 15, 2016

投票結果でみる二極化していないアメリカ

トランプ氏が大統領選で勝利してから、抗議デモが全米各地で行われて、アメリカは分断された、二極化されたと報道されている。しかし、全米のトランプ支持率は圧倒的であり、抗議デモは一般のアメリカ国民の考えを反映していない。

Nov. 11, 2016

国民が選んだ第45代米大統領ドナルド・トランプ

ドナルド・トランプの当選は確実となった。アメリカ国民対既存の支配エリート層の対立で、国民が勝利したのである。

Nov. 09, 2016

FBIがクリントン氏を起訴しない本当の理由

米連邦捜査局(FBI)のコーミー長官は6日に、ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題の捜査について、当初の7月の結論を維持し、起訴しないことを発表した。新たに発見された650,000件の電子メールを全て捜査した結果から結論を出したとしている。

Nov. 08, 2016

 ウイキリークスが伝えるクリントン氏の実像~「支配層体制を動かす歯車の歯」

 ウィキリークスの創始者のジュリアン・アサンジとの、これまで最もインパクトのあるインタービューが4日に公開された。そのなかで、アサンジ氏はトランプ氏の当選はない、クリントン氏が既存の「支配層体制を動かす歯車の歯」であることから、クリントン氏の当選は保証されていると指摘した。

Nov. 07, 2016

EU離脱に議会承認が必要とした英国高等法院の判断

EU離脱を決める第50号条に首相の発動権があるとしたブレクジット賛成派の理解に反して、英国高等法院は議会の承認が必要との判断を下した。テレサ・メイ首相のEU離脱戦略の要となる第50号条発動に反対していた残留派が勝利したことにより、英国のEU離脱問題は白紙に戻りかねない混乱に陥った。

Nov. 06, 2016

FBI捜査再開で窮地に立つクリントン氏 Part 2

米大統領選挙を前に、FBIのコーミー長官がクリントン氏のメール問題につき、捜査の再開を決断したのは、FBI捜査官たちによる内部反乱による圧力が決めてとなった。7月に捜査の終結が発表されたが、納得がいかない、正義感の強い捜査に関わった大勢の捜査官たちは捜査を続けていたのである。

Nov. 03, 2016

資金不足に陥ったイタリアの銀行救済

イタリア政府が後押しし民間が主体となって、イタリアの銀行の不良債権処理を行うために4月に救済基金「アトランテ」が設立された。国内の金融システムの信頼回復が期待された。しかし、資金不足となり、「アトランテ」を補うことを目的に7月には「アトランテII」が設立、新たな資金調達を行ってきたが、資金不足の状況は深刻化している。

Nov. 01, 2016

カレー難民キャンプの撤去で混乱するフランス

英国へ渡ろうとする難民の臨時キャンプが設けられているカレーは環境の悪さからジャングルと呼ばれている。ここに生活する難民は7,000名。フランス当局はついに彼らを全国の難民キャンプに移動させるべく強制撤去にでた。そのあおりでユーロスターの発着でパリの玄関口となるパリ北駅では治安部隊と難民を支援する労働者の衝突が起きている。

Nov. 01, 2016

FBI捜査再開で窮地に立つクリントン氏 Part 1

米大統領選挙まで9日。27日にFBIが新たに発見されたメールには、クリントン氏が国務長官在任中に公務で私用メールサーバーを使った問題の捜査に関連するとみられ、捜査を再開することを28日に発表した。発見されたメールはクリントン氏の側近であるフーマ・アベディン氏が使用していたパソンコンからみつかったものである。

Oct. 30, 2016

アイスランドの海賊党が変える政治体制

アイスランドの海賊党(Pirate Party)は29日に開かれる議会選挙で、第1政党の地位に躍進する可能性が高まっている。2012年に市民活動家、無政府主義者、ハッカーなどのIT系技術者、作家などが発足した海賊党は、政治政党として支持率を伸ばしてきた。今回の議会選挙で「反体制」を掲げる政党が国政与党となることで、アイスランドだけでなく、世界に多大な影響を残すことになる。

Oct. 28, 201

クルド人勢力の処遇を巡りIS首都奪還に不協和音

クルド人武装勢力YPGを狙ったトルコ空軍のF16戦闘機によるシリア国境を越えたアレッポ北部への26回の空爆で、YPG戦闘員160-200名が殺された。トルコ軍当局の発表では9箇所のYPG下の建物も空爆で破壊された。

Oct. 26, 2016

米国務省の「影の政府」

情報公開法に基づく請求に従って、米FBIはクリントン氏が国務長官在任中に公務で私用メールアドレスを使った問題に関する捜査に関する資料を4回に渡り9月から公開している。1017日に公開した最新の資料によると、クリントン氏と国務省の高官の一部が「影の政府」を通じて、クリントン氏が起訴されないようFBIに圧力をかけたことが明らかとなった。

Oct. 24, 2016

ロシア海軍強化でシリア内戦は終結に向かうか

ノルウェー沖の近くの国際水域で、冷戦以来の最大規模のロシア海軍艦船が地中海に向かって航海していることが19日明らかとなった。北方艦隊の大型航空母艦アドミラル・クズネツォフと巡洋艦、駆逐艦、対潜艦船など7隻とバルチック艦隊の一部が派遣された。シリア政府軍を支援するため、地中海におけるロシアの海軍力を強化するためである。

Oct. 21, 2016

ドイツ銀行の破綻プロセスは止められるか Part2

ドイツのWelt am Sonntag紙によると、米司法省から140億ドルの制裁金の支払いを命じられているドイツ銀行は、制裁金の引き下げの条件として、米司法省は「ビジネス・モデルの革新的な変革」を求めていると複数の関係者の話を報道している。ここでの「変革」とは、米国市場における事業活動の見直しのことである。ドイツ銀行にとって、米国市場からの撤退または業務縮小のことを意味する。

Oct. 19, 20

モスル奪還で書き換えられるIS支配圏~鍵を握るクルド人

イラクのモスルはスンニ派が支配的な国内第2の都市であった。2年前にISが占拠して以来、最大拠点となってきたが、1017日、米軍の支援のもとにイラク政府が奪還に本腰をいれることとなった。2016年の2月の奪還作戦が成功しなかったが、今回のモスル奪還が成功すればIS勢力地図が書き換えられることになる。

Oct. 17, 2016

米国の直接介入で悪化するイエメン情勢

米オバマ大統領は14日に、イエメンの反政府勢力が米駆逐艦に向けた攻撃(被害はなかった)に対し、報復攻撃を実施したことを戦争権限法に従がって議会に報告した。米国はイエメンでの特定の標的を攻撃する権利があり、今後も限定的な防衛のための攻撃を行うと、イエメン紛争への米軍の介入、武力行使を開始したことを明らかにした。

Oct. 16, 2016 

ドイツ銀行は破綻プロセスを止められるか Part1

ドイツ銀行は収益の減少、収益性の低下、実施できる資本増強策が限定されているといった「悪循環」から抜け出すことができない事態にある。収益力の改善は見込めない状況が続くなか、資本基盤を強化することが極めて難しくなっている。

Oct. 14, 2016

世論調査の変化でみる大統領選の行方

メデイアはこぞってクリントン候補の支持がトランプ候補を上回り、大統領に選出されると予測する。まるで申し合わせたようだが、南カリフォルニア大学がロサンゼルスタイムスと協力して行った投票登録者を対象とした世論調査の結果は、それらと異なりトランプ候補が優勢である結果を示している。

Oct. 09, 2016

米国経済の低迷が深刻化~下方修正が続くGDP予測

米アトランタ連銀によるGDP予測「GDP Now」の第3四半期予測が10月7日に発表された。前回の予測(10月5日)の2.2%から2.1%と小幅に修正されたが、8月5日の予想の3.8%からは大きく下方修正されている。

Oct. 09, 2016

社会問題化する親と同居する若者の増加

2008年の世界金融危機以降、世界中で親と同居する若者の増加が続いている。経済協力開発機構(OECD)のレポートによると、加盟国34カ国のうち、20072014年に最も増加率が高かったのはフランスで、親同居率は53.5%であった。「成人したら親元を離れる」という文化も、若者の失業の増加といった経済的理由から社会問題化している。

Oct. 07, 2016

世界の債務総額は過去最大の152兆ドル

世界全体の債務総額(政府、家計、金融機関を除く民間企業の債務)は、IMFによると152兆ドル(15640兆円)に増加、過去最大の水準となった。IMFの国家財政の動向を分析する財政モニター報告の発表では、世界の債務状況は増加傾向を続けており、世界経済の成長鈍化と金融市場の安定性を崩すリスクが高まっていると指摘している。

Oct. 06, 2016

ドイツ銀行を破綻に追い込む訴訟の連鎖:Part 2

デリバティブ取引でドイツ銀行の現職と元幹部6人が、イタリアのミラノ裁判所で起訴された。イタリアの銀行、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナのデリバティブ取引の損失を別のデリバティブ取引で損失を隠したとする詐欺と横領の容疑である。社員個人の起訴ではあるが、イタリアの法律下では会社側も犯罪の責任を負うことになる。

Oct. 03, 2016

ドイツ銀行を破綻に追い込む訴訟の連鎖:Part 1

ドイツ銀行は欧州経済の低迷とマイナス金利政策で収益性は低迷、巨額なデリバティブ・ポジションや資本不足で破綻危機にある。将来の収益性の改善の見通しは低く、今後、不正操作による金融当局による罰金、民事訴訟による損害賠償金や和解金、米司法省による140億ドルの制裁金などの支払いで、多額な資本増強が必要となる状況に追い込まれている。

Sep.29, 2016

今世紀最大の政治討論となるアメリカ大統領選討論会

米国で1億人以上が、926日の民主党候補のヒラリー・クリントン氏と共和党候補のドナルド・トランプ氏との第1回の大統領選討論会を視聴すると予想されている。テレビ討論会の条件は大統領候補討論会委員会(民主党員と共和党員で形成された非営利団体)で決められ、各候補はその条件に従うことが要求されている。

Sep. 26, 2016

政策金利の正常化への機会を失った米FRB

9月のFOMCで追加利上げが見送られた。イエレン議長は年内の追加利上げを示唆しているが、年内に残された2回のFOMC会合で利上げを決定することが困難な状況にある。今回の利上げ見送りでFRBは金利の正常化への機会を失ったことになる。

Sep. 23, 2016

金融市場で高まる信用不安 

米国短期国債(Treasury bill)とユーロドル(Euro Dollar)の頭文字をとった、金融機関の使用リスクを示す指標であるTEDスプレッドが拡大している。金融市場で、貸し倒れのリスクが上昇、銀行がお金を貸したがらない、銀行がお金を借りにくくなっている状況を示している。

Sep. 20, 2016

ドイツとフランスがEU防衛連合を提案

ドイツとフランスは新しい司令部設置や軍隊のより迅速な配置などを含むEUの軍事協力を強める計画を進めることになった。このための緊密な軍事協力計画は2016911日に両国の防衛大臣によって明らかにされ、ドイツとフランスの新聞で報道された。

Sep. 19, 2016

大統領候補としての資格を失ったクリントン氏

ヒラリークリントン氏は9/11追悼式に参列した際に体調を崩し、倒れかけている状態で複数のシークレット・サービスに支えられながらバンに乗り込んで病院に向かったと報道された。しかし、行き先は変更され、その日のうちに病状が熱中症から肺炎に変更された。

Sep. 15, 2016

EU離脱が英国の研究開発に与える影響

ホーキング博士が英国のEU離脱でEUからの還付金がなくなれば、英国の科学予算が大打撃を受けると主張している。EUは加入国に相当な額の拠出金を課しているがEUから参加国への助成金で還元される部分もある。英国の研究開発予算に絞りEUへの拠出と還元の関係を検証してみる。

Sep. 14, 2016

科学的手法で明らかにされたWTC7ビル倒壊の詳細

9//11から15年が経過した。この15年の間にWTCビル倒壊に関して多くの専門家が調査結果を学術論文の形で公開した。科学的な解析はNISTの公式調査結果と異なる事実を明らかにした。

Sep. 11, 2016

「大きすぎて潰せない」米大手銀行に不正行為

米6大銀行の一つであるウェルズ・ファーゴと言えば、住宅ローンの不正、マネーロンダリング、「大きすぎて潰せない」銀行として知られている。同銀行の新たな金融犯罪2011年から始まり日常化していたことが9月8日に明らかになった。

Sep. 09, 2016

説明責任を果たせないクリントン候補

FBI92日に、クリントン氏が国務長官在任中に公務で、私用のメールサーバーを使っていたことに関する同氏への事情聴取記録を含む捜査概要を公開した。事情聴取は72日に行ったもので、数多くの情報公開請求による公開である。

Sep. 06, 2016

米国政府債務が19.5兆ドルを超える

米国財務省によると、政府債務残高は831日に、19.5兆ドル(約1938兆円)を初めて超え、増加を続けている。オバマ政権が2009年に発足した当時、政府債務残高は10.63兆ドルであった。任期中の7年間で8.87兆ドルも増加、最も政府債務を増やした大統領として歴史に残ることになる。

Sep. 04,2016

転換期を迎えたシリア内戦

米国防省のピーター・クック報道官は822の記者会見で、シリア北部の最大都市アレッポの一部が非公式ではあるが、飛行禁止空域と指定されていること発表した。ロシア、シリア政府軍が上空を飛行すれば、米軍により撃ち落とされると警告、シリア内戦が大き転換を迎えることになる

Aug. 31, 2016

緊急時に備える食料備蓄を呼びかけるドイツ政府

ドイツ政府は緊急事態に備えて国民に食料と水を備蓄するよう呼びかけた。冷戦後初めての国家的緊急事態に備えることに、国民に混乱が生じている。政府は新しい民間防衛計画で各家庭が緊急事態に外出しなくても10日間は自給できる食料と水の確保を要求している。

Aug. 30, 2016

IS敗北で戦争終結を喜べないイスラエル

イスラエル諜報機関の長官ヘリチ・ハルヴェイ少将は侵略を続けてきたISにとって、IS拠点の奪還が続いた過去3カ月は最も過酷であった、としながらもイスラエルは「このままISが敗北して戦争が終結することを望まない」と述べた(イスラエルNRG)。

Aug. 26, 2016

緊急時に備える食料備蓄を呼びかけるドイツ政府

ドイツ政府は緊急事態に備えて国民に食料と水を備蓄するよう呼びかけた。冷戦後初めての国家的緊急事態に備えることに、国民に混乱が生じている。政府は新しい民間防衛計画で各家庭が緊急事態に外出しなくても10日間は自給できる食料と水の確保を要求している。

Aug. 24, 2016 

ジュリアン・アサンジに暗殺者の影

ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ氏が滞在しているロンドンの駐英エクアドル大使館で、821日(午前247)不審者の侵入未遂事件があったことが判明、暗殺の危険性が高まっている。不審者は大使館建物の壁を登り、窓から侵入しようとしたところ、警備員に見つかり、逃走したとされる。

Aug. 23, 2016

移民問題で増加するドイツから東ヨーロッパへの移住

ドイツで移民反対の抗議デモが各地に広がっているが、移民政策は変わらず、2016年4月の時点で、22.2万人の移民がさらに受け入れられた。社会不安を引き起こす移民危機から逃れるため、多くのドイツ人はハンガリー、スロベニア、ポーランド、チェコなどの反移民、キリスト教東ヨーロッパ諸国に移住している。

Aug. 22, 2016

クリントンの選挙戦に障害~健康悪化が深刻

ヒラリー・クリントンの健康状態の悪化は急速に進んでおり、重大な政治問題に発展し始めている。選挙活動中での、咳の発作、運動障害、激しい疲れ、体力の低下、精神障害(精神混乱、言葉を失う、一時的記憶喪失、感情の起伏)などの症状が頻繁に見られるようになってきた。

Aug. 19, 2016

新しい塩基配列生命体の安定化に成功

遺伝子組み替えによって地球上に存在しない生命体を原理的にはつくることができる。米国の生命科学研究所が新しい塩基の組み合わせを持つDNAを持つ新種のバクテリアを合成したことを明らかにした。

Jan. 26, 2017

世界最強のパワーレーザーが完成

英国とチェコの国際共同研究チームはこれまでの最大のレーザー出力を10倍高出力となる世界最強パワーレーザーの開発に成功した。国際共同研究チームは2011年から平均出力が高出力レーザーを開発し、このほど1,000Wの世界最高出力を達成した。

Jan. 25, 2017

止まらないEVシフトの潮流

EVの最大のメリットは環境性能、すなわち車を走らせる時に温室ガス排気がゼロとなる点である。厳密には原子力における燃料製造過程のように製造やバッテリー生産工程は別にした議論なのだが、ゼロエミッションが一人歩きしてEVは急速に販売を伸ばしている。世界的な潮流となりつつあるEVシフトの背景を考察する。

Jan. 24, 2017

アンドープでグラフェンが超伝導に

ケンブリッジ大学の研究グループはアンドープでグラフェンが超伝導体となることを見出した(Nature Commun. 8:14024 (2017))。グラフェンの研究が盛んになったのは成長法が確立した2004年以降だが、電気的、熱的伝導度が優れ、軽量であるため先端材料として注目され世界中で基礎研究が行われている中で、ドーピングなしでの超伝導発現は画期的な成果である。

Jan. 22, 2017

プレート移動に地球内部からの熱輸送が影響

これまでプレートの動きの駆動力については不明な点が多かったが、シカゴ大学研究チームの新しい研究(Science Adv. 2 Dec. 23, 2016)によってマントルからの熱輸送が駆動力となっていることが明らかになり、プレートが沈み込むことによる地震発生メカニズムの理解が進むものと期待されている。

Jan. 21, 2017

英国、韓国が参入するハイパーループの将来性

真空トンネルの中を空気圧で突き進む弾丸列車の原理を利用したハイパーループは音速に迫る超高速で都市間を結ぶ公共交通機関を目指している。2013年にイーロン・マスクにより提案されたハイパーループは時速620km/hでロサンゼルスとサンフランシスコ間を30分で結ぶ。

Jan. 19, 2017

世界初の燃料電池列車~先駆者はJR東日本

ドイツが導入してミュンヘン近郊で運行される燃料電池列車は世界初の試みとして報道されている。実は世界初の燃料電池列車はJR東日本が2006年に、デイーゼル機関車に代わる「環境に優しい」近未来型列車として、開発・試験運転している。日本のお家芸、燃料電池技術は環境保護に厳しいドイツで実を結んだ。

Jan. 17, 2017

地球内核の第3の元素はシリコン

地球のコア(内核)の85%が鉄、10%がニッケルであるが、残りの5%がどの元素なのかは解明されていなかった。このほど東北大の研究チームが地球の内核を構成する鉄、ニッケルにつぐ第3の元素がシリコンであることを突き止めた。

Jan. 16, 2017

EVの真価が問われる2017年

EVの世界的な動向に最も影響を与えたのはテスラEVであることは誰でも認めるだろう。EVに関する詳細は専門記事に譲り、ここでは世界的なEVの展開が加速する理由を考えてみたい。EVといってもテスラEVは動力性能を犠牲にしたエコカーではない。EV概念を覆す新鮮さと数々の先進的な装備が若い世代を魅了し、まるで車の世界のiPhoneのようにシェアを伸ばした。

Jan. 13, 2017

311地震のメガスラストの挙動が明らかに

カナダの地震研究者グループが日本の研究者グループと共同して、収束型境界の衝上断層(メガスラスト)の沈み込みについて詳しい海底面の調査と数値解析でモデルを最適化し、40kmに及ぶ断層の溝近傍で62mに及ぶ断層滑りの存在を確認した。この研究により実測結果を説明できる断層滑りのモデルが確立した(Nature Commun. 14044 (2017))。

Jan. 12, 2017

2016年の気温上昇はエルニーニョの影響

2016年の平均気温が過去平均から外れていることで地球温暖化が早まった証拠とするのは早計である。長周期的には太陽活動の減少による寒冷化に向かっており、より短期的(2015-2016年)にはエルニーニョ現象による効果の寄与が大きいからだ。実際、エルニーニョ現象のピークが過ぎてからは平均気温も過去平均に向かって収束している。

Jan. 09, 2017

MITが鋼鉄の10倍の強度を持つポーラスグラフェンを開発

MITの研究チームがフレーク状のグラフェンを圧縮・溶融して微細な穴を持つナノ構造体とすることで、鋼鉄の10倍の強度を有する軽量・高強度材料を開発した。2次元構造を持つグラフェンは軽量で機械強度が高い上に高電気伝導度を持つ次世代材料として注目されていたが、これまで特徴を生かして高強度材料として用いることが困難であった。

Jan. 11, 2017

光触媒の水素発生効率が100% に

水分解反応は水分子を酸素とプロトンに分解する負極反応とプロトンから水素を生成する正極反応の4電子2反応プロセスである。この中の還元プロセス(水素発生)の可視光によるエネルギー変換効率はこれまで60%止まりだったが、このほどイスラエルの研究グループが効率100%を達成した(Nano Lett. 16 (2016) 1776)。

Jan. 06, 2017

 イリジウムNEXTによる次世代衛星ネットワーク

衛星電話を運営するイリジウム社は2016年12月1日、時期計画としてイリジウムNEXT計画を公表した。イリジウムNEXTはバックアップを含めて81基体制の静止衛星で地球全体を覆い地球上の全ての場所で衛星通信を可能とする。

Jan. 06, 2016

新型触媒で水がクリーンエネルギー源に

スタンフォード大学の研究チームは定電圧で水を酸素と水素に分解する新しい水分解単触媒を開発した(Nature Comm. June 23, 2016)。新型触媒はリチウムイオンバッテリーの技術を電気分解の触媒に利用して低コスト触媒コストの開発に成功を収めたがその原理は他の化学反応にも応用できるとしている。

Dec. 31, 2016

3D微細化による超高性能バッテリー

イリノイ大学の研究グループはスーパーキャパシタ並みの電力密度(7.4 mW cm μm)の3Dマイクロバッテリーを開発した。その構造は模式的にはトップのイメージのように立体的に正極材料(LiMnO2)を被覆したNiと負極材料(NiSn)の積層ブロックを交互に並べたものである。

Dec. 28, 2016

サハラ沙漠に降った雪

2016年の北半球は酷寒の冬を迎えているが、サハラ砂漠(アイン・セフラ地域)の降雪がメデイアを賑わしている。1979年以降で初めてとされるこの地域の降雪は長周期太陽活動の低下によるミニ氷河期と関連づけられるのかが注目される。

Dec. 25, 2016

東欧発のバッテリー革命~ナノ科学で高性能化

過去数10年間、再生可能エネルギーによる発電量は増大し続けており、化石燃料火力との競争力が増しているが、その欠点は安定性にありベース電源となり得ないとされてきた。蓄電能力の向上でこうした一般論も過去の話になろうとしている。チェコの首都プラハの北部のレサニーに新型バッテリーの生産ラインが建設され、高性能バッテリー生産が始まる。

Dec. 24, 2016

南極の海氷面積減少は暖流が原因

これまで北極の海氷面積が減少していることは地球温暖化説に都合の良い根拠の一つであった。しかし南極の氷床面積は年々増加しており、地球表面の平均気温の上昇という単純な気候変動では説明できない。このほど北極西岸の氷床の減少が暖流による影響によるものであることが検証された。

Dec, 20, 2016   

癌細胞の正常分裂を阻害する酵素蛋白を発見

英国癌研究所、ケンブリッジ大学、ダブリン大学の研究チームがこのほど有糸分裂時にBuBR1と呼ばれる酵素蛋白が癌細胞の細胞分裂時に攻撃して破壊することを発見した。BuBR1分子が染色体を複製して細胞分裂した細胞が未熟な状態に置かれ死滅することを見出した。

Dec. 11, 2016

独自開発傾向が強まるハイテク兵器開発

HAL社(Hindustan Aeronautics Limited)はこれまでもロシアのスホーイ社と共同でSukhoi/HAL FGFA(ロシアのステルス機PAK-FA(T-50)の派生機を開発実績がある。当初FGFAはインド空軍向けに開発されたが、HAL社はPAK-FAに改良を加えロシア空軍のT-50を上回る高性能ステルス機に仕上げた。性能向上の費用はロシアとインドが対等に支出したとされる。

Dec. 16, 2016

ムーアの法則の破綻は先送りできるか

マンチェスター大学の研究チームは弱点であったInSe結晶の高品質化に成功しシリコンを上回る室温移動度が2,000cm2/Vsの超薄膜を得た。InSe超薄膜は空気中の酸素と水によって劣化するため、成長後に表面をBNで被覆することにより、安定に動作させホール効果で移動度を計測することに成功した

Dec. 09, 2016

放射性廃棄物を再利用するダイアモンド・バッテリー

英国ブリストル大学のキャボット研究所の研究グループは高レベル放射性廃棄物から5,000年間電力を供給できる半永久バッテリーを製造する技術を発表した。研究チームは黒鉛型原子炉の使用済み核燃料棒の炭素から、半永久的な寿命を持つダイアモンド・バッテリーが製造できる。

Dec. 05, 2016

安全シェルターで覆われたチェルノブイリ石棺

1986年の悲惨な事故の後、チェルノブイリ原発4号機の石棺は風化して安全性の問題が深刻化したため、それを覆う安全シェルター(New Safe Confinement)が建設されていたが、このほど石棺に移動し完成式典が行われた。

Dec. 01, 2016

イラン原子力施設で放射線源が行方不明に

湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council)はイランのブーシェフル原子炉から放射線源が紛失したこと警戒感を強めている。器材は車での移動中に盗難にあった。テロに利用される恐れの他に環境汚染のリスクを憂慮している。

Nov. 28, 2016

実用化が近いカーボンナノチューブICチップ

非シリコンメモリ企業ナンテロ(Nantero)はメモリーチップへの応用に3150万ドル(日本円にして約35億円)を投資する。IBMは高速デバイスに応用しシリコンチップより最大1桁高速の演算チップの開発を目指している。

Nov. 23, 2016

トレンドセッターでなくなったアップル

アップル社の次の市場はグーグルが2013年に目指して果たせなかった眼鏡端末かもしれない。最近のポケモンGOのヒットを作り出した技術との類似性から、この新製品の方向性は受け入れられる可能性があるが、アップル社がITガジェットのトレンドセッターではなくなったことは隠せない事実である。

Nov.19, 2016

世界初の遺伝子編集技術による癌治療

2016年10月28日、中国人医師チームによってCRISP―Cas9と呼ばれる遺伝子編集を受けた遺伝子が世界で初めて人間に注入された。ペンシルバニア大チームの遺伝子編集技術を開発したあと、米国と中国の研究者らの熾烈な競争が続いていたが、世界初となる人間での試験は中国の研究チームによるものであった。

Nov. 18, 2016

記録的な極寒に見舞われる2016年の北半球

2016年の異常気象の多くはエルニーニョ現象によって説明されるが、それが11月にピークに達する。これによって極地上空の酷寒の空気がジェット気流で南に流れ込む時期が例年より早まるため、北米の降雪時期が早まり豪雪に見舞われると予測されている。

Nov. 15, 2016

温室効果ガスの増大傾向が減速か

大気中の温室効果ガスの濃度は増加傾向にあるがその増大する速度に減速の兆候がみられるという説が登場した。もちろん地球温暖化説の根幹をなす温室効果ガスの増大に減速の傾向が確認されれば、太陽活動の低下に伴うミニ氷河期の寒冷化とともに、地球温暖化説にとっては大打撃となる。

Nov. 11, 2016

アーミッシュが癌にならない理由

アーミッシュとは米国、カナダに現代社会を拒絶する独自のコロニーをつくり自給自足の生活をする集団である。人々は彼らを嘲笑しのけ者扱いすることが多いが、彼らには厳格な生活を送る代償として現代人が羨む贈り物があった。アーミッシュたちは他の米国人よりもはるかに健康なのである。

Nov. 09, 2016

南極の海氷が過去最高レベルに

北極の氷の減少は地球温暖化説の根拠のひとつだが、南極の氷の挙動は真逆である。NASAの発表では南極の氷量は過去最大となった。ロシア科学アカデミーの天文観測部門のトップ、アブダサマトフ博士は氷床の試料を採取した結果、太陽照射量が減少していて、ミニ氷河期が2015年から始まると予測している。

Nov. 08, 2016

アルツハイマー型認知症の新薬

アルツハイマー型認知症の政府対策の支援を受けて新薬研究開発が活発化している。このほどアミロイドベータの生成を抑制する新薬が認可され、錠剤の服用ですむ一般的な治療法として、認知症患者の低減に寄与すると期待されている。

Nov. 05, 2016

ほうれん草を使う爆弾検出法をMITが開発

モスル奪還が目の前に迫っているが、ISが退却前に地中に埋設した膨大な数の手製地雷が戦争が終了しても死傷者を生む。地雷を撤去するにはセンサーロボットを想起しがちだが、このほどMITの研究グループがナノテクとほうれん草を使う画期的な爆弾検出法を開発した。

Nov. 04, 2016

ダイアモンドで磁気ナノイメージングが可能に

フランスの研究グループがこれまで困難とされてきた超薄膜磁気フイルムの磁気ドメインのナノイメージング技術を開発した。AFMのカンチレバー先端に取り付けたダイアモンドに発生する点欠陥を用いるこの手法で磁区の2Dイメージを観察したり、ドメインを移動させたりすることができる。

Nov. 01, 2016

世界中のタクシー業界に影響を与えているユーバータクシーが交通渋滞から逃れる高速移動手段としてエアバス社のヘリコプターを使ったサービスの先にはVTOL機戦略で新たな分野への参入を目指すエアバス社との協業がある。少なくとも3社以上のベンチャー起業が個人用の空飛ぶ車の販売を予定している中で、エアバス社の狙いはウーバータクシーをVTOL機で置き換える本格的な可変翼VTOLである

Nov. 01, 2016

イタリア中部の地震で予想を超える被害

イタリア中部を襲ったM5-6.1の連続する地震で古い建物が崩壊したが、多発する余震で被害が拡大している。1025日に地震に関する警報が出された直後の26日朝、中部北の国境付近をM5.8の地震が襲った。

Oct. 30, 201

フランスの原発緊急閉鎖でEU電気料金が高騰

フランスの原発の問題で稼働停止が相次いだため、冬場のEU電力卸売会社は軒並、冬場の電力料金を値上したことで混乱が生じている。緊急停止の理由はフランスで稼働していた原発に使われている部品に不良が見つかり基準を満たさないためである。

Oct. 29, 2016

熱力学第二法則の量子力学解釈に成功

ロシアの量子情報理論の研究者が最近、量子力学によるH定理の解釈に初めて成功した(Scientific Reports 2016, 12 September)。これによりボルツマン方程式の根幹であるH定理が量子力学的に証明されたといえる。この仕事は量子情報理論の進歩によるところが大きい。

Oct. 27, 2016

エルニーニョで大気中のCO2濃度が過去最大に

大気中のCO2濃度は過去数世紀で最大値を記録した。その原因として排気ガスを想像しがちだが、エルニーニョ現象による増幅がある。世界気象機構(WMO)によると、2015年に年間平均のCO2濃度は400ppmに達した。

Oct. 25, 2016

ボーイングの新型旅客機777Xで何が変わるか

ドリームライナー787の就航は遅れに遅れたうえにバッテリー騒動で足元を救われたボーイングだが、新型の777Xで名誉挽回を狙う。2020年に就航予定の777X787の設計を受け継ぎその特徴である燃費をさらに向上する。787と異なるのはエンジンを米国のGE9Xに一本化し、主翼を延長してライバル機より最大12%の燃費向上を実現する。777Xの登場で何が変わるのだろうか。

Oct. 25, 2016

リチウムイオンバッテリーの危険性

サムスンの自信作であったGalaxy Note7は発火事故が相次ぎ回収に至っている。エアラインの徹底ぶりも今までに無い厳しさで、搭乗客は離陸に先立って電源を切った上で乗務員に預けなくてはならない。バッテリーを抜いて本体だけを携帯したユーザーは取り出すときに、発火させてしまった。しかしラグジュアリー端末であったはずのiphone7でも発火事故が相次いでいる。

変わりゆくエアラインの戦略

これまでマイレージサービスはその名の通り距離が加算されるしくみになっていて、積算距離にしたがって一般的には3クラスのカードステータスが与えられる。しかしデルタ、ユナイテッド、アメリカン航空はエアラインの合併を契機としてマイレージでなく航空券の購入代金の積算をベースにすることになった。

Oct. 23, 2016

CO2から燃料をつくるナノ触媒の開発に成功

ークリッジ国立研究所の中国人を中心とする研究チームが貴金属の代わりに銅ナノ粒子をグラフェン上の電極として、電気化学的にCO2から酸素を除いて燃料(エタノール)に変換する技術を開発した。原理的には年間38億トンにのぼる温室効果ガスから燃料が合成できるという夢のエネルギーが手に入ることになる。

Oct.22, 2016

MITのトカマクが超高温プラズマ世界最高圧力を達成

MITのトカマク炉は5.7Tの磁場中で3500万度の高温プラズマの圧力が、世界最高の2気圧を記録した。プラズマ体積は1立方m、持続時間は2秒であった。他の研究機関のトカマク炉では1気圧のプラズマである。遅れてITERに参加した米国は2012年に財源難からMITトカマク予算を削除した。それでも議会が3年間の延長予算をMITにつけ成果を出した。

Oct. 18, 2016

GMO産業に落日~裁かれるモンサント

GMO離れが加速しつある中で、ドイツの製薬化学大手バイエルが2016914日、モンサントを660億ドル(日本円にして約67800億円)で買収すると発表した。このほかにもデユポンとダウケミカルが合併すれば農業部門が独立し、巨大企業が誕生する。大手GMO企業が吸収・合併しなければ生き残れない。GMOビジネスにも限界がみえている。

Oct. 17, 2016

加速する地磁気逆転が明らかに

最近、地磁気の逆転の速度が増加していることを裏付ける複数の証拠が見つかっている。1590年以降の420年間にわたるNOAAの北極点の位置観測データが2000年頃から急激に増大している。これらの結果から地磁気逆転の傾向にあるとする考え方が広まった。

Oct. 14, 2016

地熱発電・波力発電の将来性

再生可能エネルギーの中で中心とされてきた太陽光も風力もそれぞれ固有の問題を抱え、普及が進まない。またバイオ燃料もCO2排出量の優位性が否定され化石燃料の代替燃料としての地位を失いつつある。一方で地熱や波力発電はクリーンで安定な自然エネルギーとして注目されている。

Oct. 12, 2016

期待が高まるHIV新治療法

英国のHIV患者が受けた新治療法によって奇跡的な回復を遂げたことで、ウイルス根絶が現実となる日が近いかも知れない。44歳のHIV患者は英国の大学からの50名からなる選抜研究チームの開発した試験段階にある新治療法を受けた結果、順調に回復した。HIVウイルスを根絶して完治できる抜本的な治療法となると期待されている。

Oct. 06, 2016

認知症が13年で倍増~6人に1人の時代

英国の公衆衛生局の調べでは2014年の認知症患者数は850,000人で、死亡者数(73,189人)は2001年の6.6%から2014年までの13年間で、15.8%と倍増していることがわかった。認知症患者は850,000人は英国民の6人に1人の割合で、このまま増えれば2050年には200万人となる。

Oct. 03, 2016

空港フルボデイスキャンの訴訟問題

個人情報侵害や検査時におけるハラスメントで悪名高い米国のTSA(運輸保安局)のフルボデイスキャン検査が健康被害(被曝による癌発生リスクの増大)でも訴訟問題に発展している。

Oct. 05, 2016

風レンズ風力発電~エネルギー危機を救う日本の技術

風力発電の効率の決め手であるタービン形状は技術開発が進められ、ここ数10年でエネルギー変換効率は向上し、太陽光発電と並んで代表的な再生可能エネルギーとなった。これまでの漸進的なタービンの改良に対して、最近九州大学の研究グループによって提案された「風レンズ」は画期的といえる。風レンズはタービンブレードを取り囲む円形の筒で、内径は下流側で絞り込まれている。

Oct. 01, 2016

化学治療は諸刃の刃なのか

化学療法を始めてから30日以内に死亡した英国の癌患者を調べた最近の研究によれば化学療法を受けた癌患者の半数が薬の副作用で死亡するという衝撃的な事実が明らかになった。

Sep. 28, 2016

ステルス機を無力化する中国の量子レーダー

量子もつれ効果の世界では距離によらず粒子間には相関が存在する。この現象(量子もつれ)の応用は量子計算機にとどまらない。原子時計や地磁気を頼りに飛ぶ鳥にも使われている。最新の応用はマイクロ波や光ビームに反射しない物体の検出に使う量子レーダー技術である。

Sep. 26, 2016

地球上の炭素の起源は44億年前の原始惑星の衝突

地球上の生命の起源にはもともと地球には存在しなかった炭素原子が大量に生成されることが必要条件である。その炭素原子の生成の起源が44億年前の火星に似た「原始惑星」との衝突にあることがライス大学の研究グループの研究によって明らかになった。

Sep.23, 2016

中国の打ち上げた宇宙実験室の先進性

中国は20168月に世界初の量子暗号通信を打ち上げ、この分野で一気に世界の先端に躍り出た。今度は中国初の宇宙実験室を打ち上げたがそこで予定されている実験の中には(米国の後追いでない)独創的なものがあり、宇宙開発で存在感を示している。

Sep. 21, 2016

地球温暖化に「不都合な真実」を隠蔽

地球温暖化の呪縛が世界を席巻しているが、2014年に米国科学アカデミーの発表で80万年間のデータを調べてみると気候の変化はCO2の増大以前に起きていることがわかった。CO2増大による温暖化は局所的なもので、北極の氷量を減少させていることも明らかになった。60年代と70年代は地球寒冷化の傾向にあることを示すデータが(地球温暖化の仮説に不都合なため)2003 年にネットから消えた。

Sep. 17, 2016

マグマが頂上に迫るキラウエア火山

ハワイ島の名物キラウエア火山はハワイ最大の火山マウナ・ロアの南東部に位置し観光客に大人気だが、その高さがマグマが頂上から長柄出した42年前に迫る最高位となった。地球物理の専門家はマグマが数日間に渡って上下動を繰り返していたが、ついに頂上の火口から5m地点に達した。

Sep. 13, 2016

骨阻喪症の薬が乳癌細胞の成長を止める

オーストラリアの研究グループによる最新の研究によれば、マウス実験で多発性骨髄腫(骨阻喪症)に効果のある薬剤の投与で、乳癌細胞の増殖を抑えられることがわかった。この薬剤は新薬ではなく認可され市販されている骨阻喪症のためのものであることから、乳癌の治療に役立つと期待されている。

Sep. 9, 2016

アルツハイマー型認知症の新薬を開発

高齢者の増加とともにアルツハイマー型認知症の患者数も比例して増大することが先進国共通の社会問題になりつつある。このほど米国とスイスの薬剤メーカーによって患者に注射するだけで進行を食い止める新薬が開発され、臨床試験により初期症状の患者の認知症治療に有効であると期待されている。

Sep. 07, 2016

37億年前の化石から生命の痕跡

人工光合成は太陽エネルギーと酵素の触媒作用で水と空気中のCO2から酸素と糖を合成する。植物の利用している太陽エネルギーは1%にも満たないので、もし人工光合成ができたら減らそうと努力しているCO2を減らすことができる。

Sep. 04,2016

コンパクトなトカマク方式で核融合が可能に

プラズマ閉じ込めによる核融合による発電システムの実用化にはITERのような巨大なトカマク炉は必ずしも必要でないことが明らかになりつつある。研究によれば磁場閉じ込め装置のスケールとプラズマ発生と出力費には関係が薄いという。これはこれまでプラズマ閉じ込めの効率は容器が大型になるほど増大すると考えられてきた従来の開発方針が覆される。

Sept. 02, 2016

ISTwitterの甘い関係

TwitterSNSの中で、月間アクテイブユーザー数が世界で12億を超すFacebookにつぐ2億の実績を誇る。しかしその人気の一方でストーカー犯罪や悪意の中傷に使われ社会問題となっている。また求人広告を出せないような犯罪集団が隠れて仲間を勧誘したり違法薬物の販売に使ったりと、便利なコミュニケーションの特徴が犯罪を助長している事実は否定できない。

Aug. 30, 2016

環境に優しくなかったバイオ燃料

ミシガン大学の研究グループは2005年から2013年までのフイールドデータを使ってCO2収支を調べた結果、大気中の炭素(CO2)量が光合成の炭素取り込み量とバイオ燃料の燃焼や腐敗を含めて植物が排出する炭素の両方に依存するという「カーボンサイクル」を考える必要があるという結果が得られた。

Aug. 27, 2016

加速する太陽エネルギーから燃料をつくる研究

人工光合成は太陽エネルギーと酵素の触媒作用で水と空気中のCO2から酸素と糖を合成する。植物の利用している太陽エネルギーは1%にも満たないので、もし人工光合成ができたら減らそうと努力しているCO2を減らすことができる。

Aug. 22, 20

量子暗号通信衛星を打ち上げた中国

中国では量子暗号通信の研究が進んでおり、上海と北京の2,000kmを光回線で結ばれる他、2016816日に世界初となる量子暗号通信衛星を打ち上げた。これによって光回線では制限される利用地域が中国全土に及ぶ。これによりインターネットによる通信のハッキングが不可能となる。 

Aug. 22, 2016  

ペットボトルの雑菌の脅威

欧州では夏場になるとペットボトルを持たない人はいないというほどほとんどの人が持ち歩いているのが常であった。しかしそのペットボトルがふたつの理由で時代遅れになろうとしている。生産数は減少しつつあるペットボトルの問題とは何か。ひとつは廃棄された大量のペットボトルのリサイクル率は5%である。回収ができない場合、廃棄された樹脂は時間が経っても土に戻すことができない。第1の問題はペットボトルの環境問題、第2は衛生上の問題である。

Aug. 18, 2016



 Volume

1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15